2015/10/28

ヒース耐寒試験


寒冷高地の養蜂でヒースが蜜源植物として役立つかどうかを調べようと、何種類かのエリカを植えつけた。

品種:
今回植えたのは以下の4品種。
  • カルーナ・ブルガリス (Calluna vulgaris)
    花期/冬咲き、花色/ピンク、苗木サイズ/H20cm x W18cm
  • エリカ・品種名不詳 (Erika ? )
  • 冬咲き、白、H39cm x W30cm
  • エリカ・メランセラ (Erica melanthera)
  • 秋咲き、ピンク、H30m x W15cm
  • エリカ・カルネア (Erica carnea)
  •  冬咲き、白、H15cm x W20
後は、入荷待ちの(1)エリカ・ダーレーエンシス "シルバースクメルツ" と、(2)エリカ・カルネア "ディッセンバー・レッド" の2品種を追加し、この冬は合計6品種を栽培してみる予定。すべての品種を同時に東京でも栽培し八ヶ岳との成長の違いも比較してみたい。

開花状態  (2015/10/28)
秋咲きのエリカ・メランセラは今満開。他の品種はまだ固い蕾。

2015/10/23

カルーナ・ブルガリス (Calluna Vulgaris)

エリカ・カルネア(Erica Carnea)に混植する"ヒース"樹種をカルーナ・ブルガリス(Calluna Vulgaris)に決めた。

蜜源環境を向上させるため山荘の庭にヒースを植えようと思い立ってから、ネットで情報を集め、関連本に目を通し、大型園芸店を何軒か訪ね歩いたが、俄かガーデナーにはそうたやすい作業ではなかった。

樹種の選択基準は . . .
  • 花期が秋〜春(特に晩秋〜早春)で、
  • 一株に小さい花をたくさんつけ、
  • 開花時期はできるだけ長く、
  • 氷点下20度前後の寒冷地でも露地で育ち、
  • ミツバチが好んで訪花する。
. . . とハッキリしているのだが、「エリカにすべきか、カルーナにすべきか?」と、まず入り口で立ち止まってしまった。

英語のHeathという言葉は、ヒース(heath)とヘザー(heather)の両方の花木を指すようだが、植物学的には、ヒースはツツジ科(Ericaceae family)エリカ属(Erica genus)、ヘザーはツツジ科カルーナ属(Calluna genus)と、それぞれ違った「属」に分類される二種類の異なる常緑樹なのだそうだ。

映画「嵐が丘」の舞台になった英国ヨークシャーの荒野(上写真)に群生している灌木の多くがカルーナ属のブルガリス種(Calluna vulgaris)。ヨークシャーはヘザー・ハニーの産地としても有名だ。

また、中世から伝統的養蜂が続いているドイツ、リューネブルク(Lüneburg)の原野に生えているのも主にカルーナ属の"ヒース"。であれば、蜜源樹種としてはカルーナ属のヒース(右写真)が本命であることはまず間違いないだろう。

とは言え、一方ではイギリスやスイスで市販されている蜂蜜の多くに"エリカ・ハニー"と名前がつけられているものが多いのも事実。エリカ属ヒースも検討樹種から排除するわけにはいかない。

("エリカ"・ハニーは、花蜜の樹種に関係なく、荒地、痩せ地、不毛の地、ジメジメした湿地、. . . など、"Heath"という言葉に欧米人が感じるネガティブイメージが嫌われ、美しい響きの”Erica”のネーミングを使うため、と私は勝手に推測しているだが?)

というわけで、結論はエリカ属とカルーナ属の両種から”冬咲き種”の代表樹種を選抜し、それぞれが、八ヶ岳高原の冬にどのように適応するかまず見ることにした。耐寒性には不安があるが、秋咲きのエリカ・メランセラ(Erica Melanthera)系の樹種も念のため数品種植えてみる。

備  考:
  • 外観や植生がソックリなこともあって、日本の園芸店だけでなく、本場イギリスやドイツでもヒース、ヘザー、エリカ、カルーナなどの語句はしばしば混同され(あるいは誤用され)ているようだ。その上、園芸用のエリカやカルーナには花期などの植生の異なる無数の変種・改良種があり話はよけいにややこしくなる。購入樹種を決める時にはよほど注意しないといけない。(Better Homes and Gardens)
  • この時期、日本の園芸店で販売されている”ヒース”の多くは「カルーナ属」のヒース、中でもドイツの会社が品種改良した「GardenGirlsシリーズ」が圧倒的に多い。このガーデン・ガールズ系のヒースは、花の色を長期間保持するため、蕾のままで開花をしないように品種改良されているようだ。鑑賞用の園芸種としては良いだろうが花が開かないのでは蜜源花としては困る。
  • ヒースに関する日本語情報源としては「ヒースランド岩手」のWEBが詳しい。

2015/10/17

クロスズメバチ

高島屋二子玉川店の屋上に置かれていたエリカの寄植えに二匹のクロスズメバチが訪花していた。クロスズメバチといえばスガレ追いが盛んな長野や山梨などの自然豊かな田舎のものと思っていたので奇異に感じた。

調べてみるクロスズメバチはそう多くはないが都市部でも生息しているそうだ。都会のクロスズメバチは、人家の壁間や天井裏などに営巣するらしいが、ここ二子玉川にはすぐ近くに多摩川や等々力渓谷がある。田舎のクロスズメバチ同様、土中で営巣できる環境もありそうなので、高島屋の屋上で数匹のクロスズメバチを見たからと言ってそう驚くことではないようだ。

毎年山荘の庭に巣を作るクロスズメバチはおとなしいが、今日のクロスズメバチは違っていた。カメラのレンズを近づけると威嚇するかのように顔に向かって飛んでくる。限られた蜜源を独占するため、都会のクロスズメバチが身につけた生活の知恵?それとも、ミツバチがそうであるように、寒くなってくると気性が激しく攻撃的になってくるのだろう。

2015/10/11

エリカ・カルネア (Erica Carnea)

(写真はHeather Hills Firm, ScotlandのWebから)

カラミンサ効果に気を良くし、次は晩秋から冬の期間の蜜源環境の改善を試みてみようと思い立った。導入予定の樹種はヒース。八ヶ岳高原の寒さに耐え、冬の間でも花を咲かせ、ミツバチが好む花蜜を出す花木と言えば、ヨーロッパの養蜂で実績のあるヒース以外に思い浮かばない。

多くのヒースはアフリカが原産地で基本的には寒さに弱い。でも、ヨーロッパを原産地とする種の中には耐寒性もある種がいくつかあり、その代表的な樹種がエリカ・カルネア(Erica Carnea)だ。

ヨーロッパ中央アルプスやイタリヤアペニン山脈などの高度1500メートル以上の高山帯に自生していて、「アルペンヒース(Alpine Heath)」や「冬咲きヒース(Winter Heath)」とも呼ばれる。氷点下30℃位まで耐え、花期は晩秋〜春先らしいので、八ヶ岳高原の蜜源枯渇期を補完するには理想的な花に思える。

グランドカバーやロックガーデン用に、ヨーロッパでは人気の高いエリカには、園芸種として改良されたものが多く(一説には800種以上あると言われている)、花の咲く時期や、花や葉の色合いなど、それぞれ異なる変種・改良種があるようなので、開花期の異なるいくつかのエリカを混植すれば、八ケ岳の寒冷高地でも一年中蜜源花の絶えないビー・フレンドリー・ガーデンを造ることが可能かもしれない。

スイストレッキングで、エリカを訪花しているミツバチをみつけることはできなかったが、エリカが蜜源花として優れていることは、ドイツ北部のヒース地帯でHeath Beekeeping(German: Heideimkerei)と呼ばれる独特の養蜂術が中世から伝えられていることや、Erica Heather Honey とジャンル分けされるハチミツが存在することで十分に裏付けられている。

この春たまたま"Heath Beekeeping" の特異な分蜂群捕獲方法のことを知り、その手技を来春の分蜂シーズンで試してみようと画策しているところだった。蜜源花のヒース導入と併せて「Heath Beekeeping 八ヶ岳版」の序章になれば楽しいのだが。

2015/10/09

夏をゆく人々

光と緑あふれるイタリア中部・トスカーナ州。人里離れた土地で、昔ながらの方法で養蜂を営む一家の物語。 
. . . の広告コピーに惹かれて、昨晩山を降りて今日は神田神保町の岩波ホールに出向いた。

思春期の少女ジェルソミーナのひと夏の成長物語。カンヌ映画祭グランプリ受賞作ということなので映画はもちろん素晴らしいものなのだろうが、こちらの感性がそれについていけず今一つ感動のないままにホールを後にした。

2015/10/04

フクロウ巣箱


八ヶ岳自然クラブの活動の一環として先月から手掛けていたフクロウの巣箱作りも大詰めを向かえた。今日は仲間三人の加勢を得て塗装作業。秋の強い陽光と適度な風に恵まれ作業は大いにはかどり、明々後日(10月7日)に予定している組立作業会までに必要なパーツはなんとか準備できそうだ。

11年間の使用ですっかり痛んだ古巣箱は全て差し替えられ、八ヶ岳南麓のフクロウ達は来春からは新築物件での営巣になる。

2015/10/03

リュウノウギク(竜脳菊)

リュウノウギクが満開。一足先に咲き始めたノコンギクとともに今野草畑は菊一色。どちらの菊にも小さな虫はたくさん集まっているが、今年はミツバチの姿を見かけない。他にもっと好ましい蜜源があるのだろう。