2011/12/22

山梨のイヌワシ

先日の日本イヌワシ研究会シンポジウムで近年イヌワシが激減しているとの報告を聞いた。

山梨県下での状況はどうだろうと情報を集めているが具体的な資料が見つからない。
手元にある「山梨の野鳥」(1985年発刊)や「山梨の鳥」(1977年発刊)などの野鳥図鑑に、イヌワシが収録されていないのも気にかかる。

一昔前はどうだったろうかと、山梨の野鳥に関する古い書籍を神田神保町で探して購入したのが中村幸雄著「甲斐の鳥たち」(山梨日日新聞社)。その中にイヌワシにについて次のような記述があった。
. . . イヌワシは、中部山岳地帯で繁殖し一年中その場所に住んでいるが、山にえものが少ないときには、遠く太平洋までも出かけていく。. . . 御坂の黒岳(1,793メートル)へ行ったとき、山頂に海水魚の食べかすや骨が散乱し . . . (その近くにあった鳥のふんから判断して) . . . 黒岳のイヌワシも太平洋までえものをとりに行ったのだろうと判断した . . . 。(p88)
同書が発刊されたのは1969年と比較的新しいが、イヌワシに関する記述は、著者が “まだ山梨県庁に勤めておったころの話”とあるから、昭和初期の出来事だろうと推測する。

御坂の黒岳から駿河湾や相模湾までは直線距離で50〜60キロ。イヌワシの行動圏はかなり広そうだ。もし八ヶ岳山麓に営巣しているとすれば、餌を求めて(あるいは、狩場への行き帰り)に八ヶ岳南麓の上空を横切ることもあるだろう。

イヌワシが獲物を探す時の飛翔高度は100〜300メートルらしいが、遠くの狩場への移動にはもっと上空を飛ぶに違いない。鳥影からイヌワシと判断するのはかなり難しいだろうがウォチングのチャンスはありそうだ。

ちなみに、同書の著者中村幸雄氏は、山梨に生まれ、山梨で育った日本における野鳥研究のパイオニア。かの中西悟堂氏が「野外鳥類研究の四天王」と称したほどの人。そして、中村幸雄氏の長男の中村司氏(山梨大学名誉教授)も、国際鳥学会の名誉会長を勤めたほどの世界的に著名な野鳥研究家。さらには、現在の日本野鳥の会会長は八ヶ岳倶楽部の柳生博氏。
野鳥の豊富な山梨は、野鳥研究や野鳥の保護活動においても日本のメッカでもあることは地元の人にも意外と知られていない。

2011/12/14

薫製日和

快晴で乾いた空気。適度に風があり、気温も0〜5度くらいの間を上下している絶好の薫製日和。

正月の来客用の薫製作りを始めた。最初の素材はニジマス。近所の三幸養漁養鱒場へ朝一番に電話して水揚げをしてもらった正真正銘の生きのいいニジマス。

約10時間ソミュール液に塩漬けにした後、流水で30分間塩抜きし、開いた腹の内部が乾くまで寒風の中に吊るす。

その後、温燻1回目(40〜50度、6時間) → 乾燥(一晩) → 温薫2回目(50〜60度、4時間)でニジマススモークの出来上がり。

数時間日陰に吊るして表面を乾燥させた後、冷蔵庫で数日間寝かせ熟成させると一層美味しさが増す。

引き続いてホタテ貝柱、タコ、アジ・サバの干物、カマボコをスモークして正月用薫製の準備は完了する予定だ。

(注)ソミュール液は塩(約6%)、黒胡椒、ローリエとごくシンプルなもの。色つやを良くするため、2度目の温薫時には表面にオリーブオイルを塗布した。

2011/12/12

ハチミツ流出事件

昨日のミツバチ巣箱で起きた小さな事件。

午後1時30分、巣門からハチミツが滴り落ちているのに気づいた。巣板が落下したのか、それともなにか巣箱内で異常事態がが起きているのか?

「日本ミツバチ」(農文協刊、日本在来種みつばちの会編)には次のような記述がある。
. . . (越冬クラスターの)表面部分の蜂が凍って次々とはがれ落ちたり、逆に、大騒ぎして異常な熱を発して、真冬にもかかわらず蜜といわず蜂といわず巣底に落ちてベタベタになって、全滅ということもある。. . . 
今日の外気温は気温 4.2度。凍死が起きるほどの寒さでもないだろう。巣箱の設置場所は建物北側の日陰。直射日光で巣箱が暖められて貯蜜が溶け出したとも考えられない。

唯一原因として考えられるのは薪割り。斧を振り下ろす時の振動が地面を伝わり、驚いた蜂が驚いて騒ぎ出し熱をだし、巣内温度が上昇してハチミツが溶け出した?薪割りの位置から巣箱までの距離は6m。巣板を落下させるほどの振動が地面を伝わるのだろうか?

巣箱前扉を開ければ様子が掴めるかも知れないが、この冷気の中でいたずらにミツバチを騒がせるのも、と開扉しないでそのままにしておいたら間もなく蜜の流れは止まった。
問題の解明は暖かい日に改めて行うことにする。

2011/12/11

皆既月食


直前まで流れていたうす雲も月食が始まる頃にはすべて消え、明るい夜空で目立っていた冬の大三角形も、月食が進み空が暗くなるにつれて姿を現わした天空一杯の星の中に埋もれてしまった。

白色だった月が次第に赤みを帯びてきていよいよ最大皆既月食。満天の星空に赤いヨーヨー玉が吊り下がったような不思議な光景。針で刺すとプチンと破裂しそうだ。

夜中の1時過ぎには再び元の満月に戻り、それを待っていたかのように西の空から大きな雲が流れてきて空を覆い皆既月食ショーの終幕。気温マイナス1.3度。

2011/12/10

雪の中のコンサート


年に一度の贅沢、八ヶ岳高原サロンコンサートへ。

今日の演し物は、吉野直子(ハープ)、今井信子(ヴィオラ)、ジャック・ズーン(フルート)の2弦1管のトリオによる「ハープとヴィオラとフルートの夕べ」。このスーパートリオが日本で演奏するのは今夜が初めてのことらしい。

カラマツ林の中に佇む八ヶ岳音楽堂は、雪に覆われていつにも増して静寂。夕暮れ時から始ったアットホームなコンサートは、東京の大ホールでは味わえない贅沢な時間だ。


そして、もう一つの楽しみがコンサート後、演奏者とともに味わうビュッフェディナーの料理。
特にお気に入りは、牡蠣、サーモン、オマールエビ、鯛、. . . と、好物の海鮮食材がふんだんに並ぶオードブル。メインディッシュも、和・洋・中・エスニック風とバラエティーに富んでいるので、自分の好きなものが必ず見つかる。日々の自炊生活での粗食の反動も加わり、一流のコックの味がより一層極上に感じる。

この贅沢、来年からは夏の北杜国際音楽祭に替え、夏・冬、年2回の恒例行事にしようかと思案中。

(中写真は、八ヶ岳高原ロッジのホームページから)

2011/12/09

雪の朝

明け方から降り出した雪が積もり始めた。

野鳥にはあまり人気のないガマズミだが、今朝はヒヨドリが時折実をついばみに来ている。


昨日から始めたベランダのバードフィーダーにも、ホオジロ、ヤマガラ、シジュウカラ、カワラヒワなどが集まり始めた。間もなくイカルやシメも姿を見せるはず。

(追記:午後、庭に来た鳥/ミヤマホオジロ、ゴジュウカラ、シメ、コガラ、アカゲラ、コゲラ、ヒヨ)
ライブカメラで見ると、サンメドウズスキー場のゲレンデもやっと白くなってきた。このまま降り続けば、この週末にはオープンしそうだ。

2011/12/08

つるしんぼ

パノラマ市場で仕入れ、11月22日から吊るし始めた甲州丸が飴色に変わり、後2〜3日もすると“耳たぶより少し固く”なりそうだ。

次は藁にはさんで木の箱に並べ、白粉をふかせればころ柿の完成となる。

今年の干し柿は、「むらに生きる先人の知恵」(農文協、昭和53年刊)に書かれたとおりにやってみようとしている。著者の稲村半四郎氏が、子供時代に母親と一緒に干し柿作りをした思い出を述べた「つるしんぼ」の章がその手引書。

以下がその抜粋:(できるだけ原文のままで。)
. . . 「ああ、へえ北風が出て、お天気がつづきそうだからつるしんぼをむくかな。」母がいう。まだ健在だった母と私で柿をもぎとった。果柄と丁字形になるように枝を短くつけて切る。

. . . へたのまわりをきれいにして皮をむく。果の頂部の小さい黒点だけ残す。頂部までむくと、柿の実がやわらかくなった時にくずれやすいのだ。

. . . むいた柿をこでなわと呼ぶ細縄の片側に五個づつ丁字形の部分をさしこんで、ひとつれにして軒につるす。

. . . むき柿の膚が日に当たって、あめ色に変わりはじめると一個一個もむのだ。「一度に力をいれないで、しこんしこんもむだど。そうすると、種ばなれもいいし、乾きあがりの色もいいど。」母の言葉。

. . . 耳たぶよりすこしかたいくらいのやわらかさに乾き上がると、わらを間に入れながら柿を平たい形にして木箱に入れる。そうして白くこうがふいてくるのを待つ。
稲村半四郎著「むらに生きる先人の知恵」には、かっての週刊新潮の谷内六郎の表紙絵のような懐かしさがある。読み物としても楽しいが、いろいろな先人の生活の知恵が具体的に述べられているので役に立つ。

備考:
甲州丸 50個(+5個サービス) 1500円 パノラマ市場

2011/12/04

イヌワシ讃歌


来年から始めようとしているワシタカウォッチングに備えて、手元にある鳥類関係本のワシタカに関する箇所を拾い読みしていたら、「日本の名随筆2 鳥」(作品社刊)に “イヌワシ讃歌” と題した丸山健二のエッセーが載っていた。

長野県飯山育ちの丸山が、子供時代、大空の雲間から現れたイヌワシを初めて見た時の感動を綴ったもの。それを読んで、“八ヶ岳南麓上空を飛翔するイヌワシの姿を見たい” との思いが一層募ってきた。

+ + + + +

- 八ヶ岳南麓には今でもイヌワシは生息しているのだろうか?
- どういう場所に行けばイヌワシに遭遇するチャンスが高いのか?
    そんな疑問へのヒントが掴めるのではと、今日は日本イヌワシ研究会の30周年記念・公開シンポジウムに参加した。

    アマチュアの団体とは言え、さすが30年の歴史を積み上げただけあって、収集したデーターや活動内容はハイレベル。朝の9時半から夕方6時までの長丁場だったが、かなり中身の濃い時間を過ごすことができた。

    基調講演の一つ、「鳥類の生態研究と生物多様性の保全〜猛禽類の事例とともに」(注) は、イヌワシだけではなく、フクロウやニホンミツバチにも共通する内容。観察の視点やつき合いの有り様に多くの示唆をもらった。

    肝心の「八ヶ岳南麓でイヌワシを」に関してもそれなりの情報を入手。ハードルは高いが、まったく可能性の無い願望というわけでもなさそうだ。ファイトが一層高まってきた。

    注記:
    -  講演者は、東京大学大学院農学生命科学研究科生物多様性科学研究室 樋口広芳教授
    -  上のイヌワシ写真はFirst Peopleから借用したもの。

    2011/12/02

    セガンティーニ展


    アルプスの画家 セガンティーニ - 光と山 - 」展へ。

    アルプスの自然と、そこに暮らす人々を描き続けた画家ジョバンニ・セガンティーニ(Giovanni Segantini)。今回の展示作品の中で一番惹き付けられたのが「アルプスの真昼」(上写真左)。ポスターにも使用されているセガンティーニ代表作の一つだ。

    澄み切った大気の中の光と色を求め、ベルニナ・アルプスを「もっと高く!」へとアトリエを移動したセガンティーニ。標高2731mの山小屋で、アルプス三部作 [ 生・自然・死] を制作中に、急性腹膜炎で41歳の若さで急逝した。

    澄んだ大気、目映いばかりの太陽光、野草が咲き乱れる草原の色、くっきりと見える標高3000〜4000m級の山々の稜線、. . . 。「アルプスの真昼」に描かれた光景は、今年夏のスイスアルプス旅行の [Muottas Muraigl〜Alp Languard トレッキング]で見た風景とそっくりだ。(上写真右)
    写真に写っている草原を右方向に岩山をしばらく登るとセガンティーニ・ヒュッテと呼ばれる山小屋(右地図赤印A)がある。セガんティーニは、この絵を、写真撮影をした場所の近くから描いた可能性はおおいにある。

    午後の限られた時間でのトレッキングだったので、セガンティーニ・ヒュッテを経由するルート(青色)は避け、中腹を回る楽なコース(赤色)を選んだ。
    「 . . . 光と山」展を見た今では、多少無理をしてもヒュッテ経由にしておけば良かったと後悔している。セガンティーニのイーゼルの脚跡が見つかったかも知れない 。

    2011/12/01

    (続々) ショクダイオオコンニャク

    神代植物公園のショクダイオオコンニャク、一昨日から昨日にかけての成長具合から、開花は数日後と予想しのんびり構えていたところへ“今朝開花したらしいよ”との一報。急いで駆けつけると、大温室の入り口は既に長蛇の列になっていた。

    列に並び始めてから花にたどり着くまでちょうど1時間。昨夜から開き始め、早朝に満開になったらしい。午後には早くも仏炎苞を閉じ始めた。

    今回咲いた花は通常より小振りとのことで “世界一大きな花” のインパクトには少々欠ける。花序附属体が長く伸びなかったせいか、「燭台」と言うより、百人一首の坊主絵柄を連想してしまう。
      左は神代植物公園の公式WEBサイトから拝借した午前8時撮影の写真。
      右は既に仏炎苞が萎み始めた午後3時に撮影。


      多少の不満も残しながら意外にもアッサリと終わってしまったショクダイオオコニャクの開花劇。なにはともあれ7年に一度の開花に立ち会えたことはラッキーだったことに違いはないのだろう。

      追記: 12/02
      新聞報道によると昨日のショクダイオオコンニャクは、高さ約1メートル、花(仏炎苞)の最大径は73センチ、見物人数は3670人だったとのこと。