2017/07/20

スイスの蜜源植物

今回の旅行ではずいぶんと多くのミツバチに出会うことができた。ミツバチが訪花しているのを確認できたのは26種の花。撮影した写真を、植物名、見かけた地点の周辺環境や標高など、カテゴリーを設けて整理・分類するつもりでいるがいつのことになるか分からない。

で、とりあえずは写真だけをおおまかに区分して掲載したいと思う。
(今表記されている植物名、ミツバチの種や生態に関する記述はまだ不確かさを残しています。おいおい追記・訂正します。)

標高2000m以上の高地山岳地帯で見かけたミツバチ:

27 アルペンローゼ (Rhododendron ferrugineum / Ericaceae)
写真:2017/6/22、Col de Balme〜Charamillon 標高2000m付近


エーデルワイス(ウスユキソウ)、ゲンティアナ(リンドウ)と並んでスイスアルプスの代表花の一つアルペンローゼ。標高により6分咲きからほぼ最盛期を終え萎れた始めた花が目立つ場所と様々だったが、全般的には今回の旅行期間は”アルペンローゼが一番の見頃のシーズン”と言っても間違いないだろう。

全山を覆うアルペンローゼ、そこに群れ集まるミツバチの姿。アルペンローゼがスイスアルプスのミツバチにとって主要蜜源植物であることを実感した。

28 フウロソウの仲間 (Geranium Sylvaticum / Geraniaceae)
写真:2017/6/22 Col de Balme〜Charamillon 標高2000m付近


この写真に写っているハチはスイスの在来種ミツバチではないかと思う。今回の旅で撮影した写真の中には、イタリア系の養蜂用ミツバチに混じって、このスイス在来種のミツバチが結構写し込まれているようだ。在来種ミツバチはヨーロッパ各国に生存し、それぞれの国でSwiss black bee、 British black beeGerman dark beeなどと呼ばれているが、学問的には全て「Apis melliferaの亜種Apis mellifera millifera」として同種のミツバチに分類されている。

19世紀半ば、イタリアン系の養蜂用ミツバチがスイスに移入されると、古来からスイスの自然界に生息していたスイスブラックビーは次第に顧みられなくなった。近年、そんな在来種ミツバチを再評価する動きがヨーロッパ各国、特にスイス、スウェーデン、イギリスなどで高まっているようだ。冬の寒さに強く、環境適応性の高いブラックビーの生態だけでなく、地産地消を重んじるスローフード運動や、画一的な商業養蜂への反発がその背景に見え隠れするのは、日本におけるニホンミツバチの立場と酷似していて興味深い。

26:  ミネズオウ (loiseleuria / Azalea)
写真:2017/6/25  Gornergrat〜Riffelsee  標高2600m付近

今回の旅行中最も高い場所で見かけたミツバチ。ここに集まっているミツバチ達はどこから来ているのだろう?そんな疑問はこの場所以外でも何度か感じた。Googleマップで調べても、この地点を採餌圏にしそうな距離内でミツバチの棲家になりそうな樹林や建造物は見当たらない。ましてや、こんな高地までプロの養蜂家が巣箱を運び込んでくるとは思えない。

巣は岩場の陰にあるのだろうか?次回スイスアルプスを訪ねる時には、この地でビーライニング(ビーハンティング)を試してみたい気がする。

21:  ミヤコグサの仲間 (Lotus alpinus / Fabaceae)
写真:2017/7/6 First〜Bachlpsee 標高2100m付近

庭の花壇かとも思えるほどにいろんな花が咲き乱れているのに、ここではミヤコグサだけを選んで飛び回っていた。一種だけの花を選んで飛び回るミツバチの姿はその後も度々目撃した。後述するがイブキジャコウソウ(の仲間)などはそのように"選ばれる花"の代表格のように見えた。

特定の花が選ばれるのは流蜜量のせいなのか?あるいはミツバチの嗜好によるものなのか?シソ科のイブキジャコウソウが選ばれていることから、その理由は後者ではと推測するが確かなことは分からない。

24:  6/30


23:  6/30

20:  7/6

19:  7/6  First - Bachsee  2262m


18:  7/6  Bachalger  1983m


17:  07/06  Waldspitz  1918m & 13:  07/08  Pfingsteff


14:  削除

12: カルナ・ブルガリス (Callun vulgaris / Ericaceae)
写真: 2017/07/09 Grindelwald〜Holstein 標高1600m付近

ミツバチの姿は見かけたが写真に撮ることはできなかった。数は数匹程度でそう多くなかった。今回の旅行中、満開のカルナ・ブルガリスやエリカ・カルネアを見ることは稀で、特に花期が3〜6月のエリカ・カルネアはすでに花を終え結実していた。

八ヶ岳南麓の秋〜冬の蜜源植物として期待しているカルナ・ブルガリスやエリカ・カルネアだが、本場スイスアルプスでその期待を裏付ける光景にはまだ出会っていない。最も、カルナ・ブルガリスもエリカ・カルネアも、スイスでは観賞用として秋〜冬の寒い時期に庭先や鉢植えで見られるそうなので、他の花々が少なくなった秋〜冬の季節に観察しないと真実は分からないのかも知れない。

11:  07/09  Holenstein

低山で見かけたミツバチ:

25:  6/26  ノイチゴ

街の中で見かけたミツバチ:

22:  7/1  Interlaken

16:  07/07  シャレー庭

15:  7/7  シャレー庭  シモツケ

9:  07/11  Thun  お城から教会への道

8:  7/11  Thun  教会の庭

7:  7/11  Thun  城郭の花畑  カラミンサ
ひどいピンボケ写真しか撮れなかったが花畑の中でカラミンサは一番の人気もの。

6:  7/12  Grindelwald  教会の墓地
5_ラベンダー (Grindelwald バス停近くの民家の花壇 7/12撮影)

4:  シロツメクサ (Grindelwald の教会の庭 7/12 撮影)  
10:  07/11  Thun  教会の庭

3: ??? (Grindelwald  教会の庭  7/12撮影)

5:  ラベンダー (Grindelwald 住宅の花畑 7/12撮影)
グリンデルワルドよく利用したバス停近くの民家の花畑。ミツバチがいる時はミツバチだけで、ハナバチがいる日はハナバチだけと、はっきり分かれていた。縄張り争いでもあるのだろうか?

1:  ??? ( Zurich  空港近くの畑の畦道 7/16撮影)

2: ヒマワリ (Zurich空港近くのヒマワリ畑  7/16撮影)
帰路一泊したチューリッヒ空港近くのホテルから数百メートルのところにあったヒマワリ畑。花は満開でほとんどの花に複数のミツバチが群れていた。畑全体で膨大な数のミツバチが集まっていたのではと推測する。

2017/07/15

DAY 26TH 1/2:グリンデルワルト出発の日


グリンデルワルトで滞在したシャトー(民泊宿)は実に快適だった。十分に広いキッチンやリビングルーム、必要十分な調度品、時折食事に利用した芝生付きテラスは、アイガー北壁がすぐ目の前に広がる。

二階に住んでいるルビ(Rubi)夫妻とは多すぎもせず、少なすぎもせずの適度な交流。そのルビ夫人が昨晩ドアをノックし、「明日はいよいよお別れですね。あなたがミツバチ好きと知ったので、このグリンデルワルト産の蜂蜜をプレゼントします。」と一瓶のハチミツを持ってきてくれた。

日本に帰ったら返礼に八ヶ岳産の蜂蜜を送ろうと思う。

2017/07/14

DAY 25TH:(続) Eiger Ultra Trail


グリンデルワルトの街に出るとすっかりアイガー・ウルトラ・トレイル一色。いつものバスターミナルはレースのスタートとゴール場所に模様替えされ、街は日焼けし、引き締まった体躯の男女で溢れかえっていた。

101kmのウルトラ・トレイルの他に、それぞれ異なった距離を走る5種類のレースがあり、その中の一つ "Kids Race" だけでも4つのレースに区分されている。
シャレーへの帰宅途中、その中の一つ、前夜祭的な催しらしい4〜6歳児の "Minis"レースのスタートに出くわした。"Minis"レースの走行距離は350m、スタート地点のすぐ近くにある遊園地を一回りしてゴールするようだが、小さな子供が真剣な表情で走っている姿が、なんともほほえましく、また街全体の健康的な雰囲気に好感が持てた。

本番のE-101ウルトラ・トレイは明朝4時半のスタート。そしてその4時間半後の9時にはグリンデルワルトを発ちチューリッヒに向かい帰路につく。
(グリンデルワルト泊)

2017/07/13

DAY 24TH 2/2:Eiger Ultra Trail


アイガーの麓、アイガーグレッチャー駅付近で野草観察をしていると、背中に変わった棒を背負い、石に向かってスプレーを吹きかけている怪しげなお兄さんに出会った。「何をしているの?」と尋ねると、この週末に開催されるアイガー・ウルトラ・トレイル(Eiger Ultra Trail)の準備中なのだという。

氷河が岩盤を削り、その岩屑を下流域まで運び積み上げてできた馬の背のようなデブリ、氷河流側の土手の一方は谷底まで数百メートルの急峻な斜面が続き、昼間歩くのでさえ慎重にならざるをえない。

そんなデブリ道に突き出ている大きな石に蛍光ペイントを塗り、ランナーがつまづいて谷底へ転げ落ちることがないようにしているのだそうだ。

一昼夜かけて走るアイガー・ウルトラ・トレイル、この付近では、ランナーはヘッドランプの光を頼りに暗闇の中を走る。明後日の午前4時30分にスタートし、101kmの距離と、高低差6700mの道のりを、26時間以内に走り抜けなければならない。
参加者募集要項には、「レース中なにが起きても自己責任で . . . 」と主催者組織の但し書きが付記されている。
(グリンデルワルト泊)

(写真:Eiger Ultra Trail公式ホームページから拝借)

DAY 24TH 1/2:再びアイガーグレッチャーへ


スイス滞在も後数日残すのみになった。グリンデルワルトを離れる前にもう一度アイガーグレッチャー周辺のお花畑を見たいと二度目の訪問。雪山と氷河を背景に広がる裾野と谷を埋めつくす花々はなんど見ても見飽きることはない。

時折数人連れのハイカーが通り過ぎるお花畑の真ん中を陣取って、日本から持ってきたパックご飯のおにぎり弁当での昼食、 . . .



独特の青紫色でスイスアルプスの野山を彩るリンドウの種類を図鑑と見比べたり、. . .



近くにエーデルワイスが生えている可能性が高いと聞いて、Aster alpinus(アスターの仲間) の周辺を歩き回って探したり、. . .

何度も撮影しているのに見かけるとまた写真を撮りたくってしまうカンパヌラの花の写真をあちこちの角度から撮ってみたり、. . .



と、最後のフラワートレイルをゆっくりのんびりと楽しんだ。名残惜しいが、今回のフラワートレイルは今日で打ち止め。帰路につくため明日はチューリッヒに移動する。
(グリンデルワルト泊)

DAY 23RD:休養日


今日はどこにも出かけず休養日に。

グリンデルワルトの街を散策し、

教会の墓地で自分に向きそうな墓石を探したり、

博物館でハチミツ絞りにも使えそうチーズ作り器具を見つけたり、

. . . とゆったり一日を過ごした。
(グリンデルワルト泊)

2017/07/11

DAY 22ND:トウーン


ベルナーオーバーランドの山岳地帯を下りるとブリエンツ湖、トウーン湖と二つのつながった大きな湖がある。ブリエンツ湖の先端にある木工の街ブリエンツ(Brienz)は以前に訪れたことがある。で、今回はトウーン湖の先端にあるトウーン(Thun)の街を訪ねることにした。

湖とアーレ川をつなぐ水門を中心に開けた街。予想していた以上に古い建物が残されている街並みは、一日の時間を費やしても足を延ばすだけの一見の価値があった。

その水門前のレストランWaisenhausでの昼食。メニューは、イタリア風前菜盛合せ、パスタ、スズキのムニエル。これにビール・水を加えて税込93スイスフラン(約1万円)なので安くはないが特に高過ぎると言うわけでもない。

スーパーで仕入れた食材で一日1000円にも満たないシャレーの自炊生活が続いていた身には、久しぶりの本格的料理がミシュラン三つ星の食事と思えた。
 (グリンデルワルト泊)

2017/07/10

DAY 21ST:アイガーグレッチャー


登山鉄道でアイガーグレッチャー(Eigergletscher)まで上り、そこからクライネシャイデック(Kleine Scheidegg)へ下るごく短いトレッキング。

谷底から霧が吹き上げ、時折小雨もぱらつく天気だったが、霧が晴れると氷河の先端、氷河が削ったU字谷の岩壁、足元に咲き乱れる高原植物、. . . とただただ圧倒される景観だった。
(グリンデルワルト泊)

2017/07/09

DAY 20TH 2/2:ヤナギラン


グリンデルワルトに着いた時にはまだ蕾だったヤナギランが、この一週間ですっかり花開いた。(グリンデルワルト郊外 標高1530m付近)
(グリンデルワルト泊)

DAY 20TH 1/2:移動養蜂カート


今日は久しぶりの小雨日和。であればと遠出は諦めてグリンデルワルト近郊のミツバチ巣箱の現場訪問で一日を費やした。

おこれまで利用したバス、電車、テレキャビンなどの窓から、ビーハウスやビーハイブらしいものを探し、そのポイントをGoogleMapで確認しておよその場所の目星はついている。そんなやり方で今日訪問した3箇所を入れてこれまで7箇所の巣箱設置場所を訪れることができた。

できれば巣箱のオーナーに挨拶がてら色々と質問をしたいのだが、今日は巣箱オーナーに会うことはできなかった。それでも、間近で巣箱を見学することで、与えている餌の種類、水飲み場の工夫、巣箱前に設置してある分蜂群捕獲用トラップの形状、. . . など、昨日のミツバチ小屋訪問とはまた違ったスイス養蜂の実務的な点を学ぶことができた。
(写真はそのうちの一カ所、移動養蜂用カートに積んで標高約1620m付近の牧草地に置かれていた 。背後にそびえるのがアイガー北壁)
(グリンデルワルト泊)

2017/07/06

DAY 17TH:フィルスト


前回(7/2)訪れた時には深い霧と雨で早々に退散したフィルスト(First 2167m)へのリベンジ再訪。快晴の青空と温暖な気温のせいか、野草の花だけでなく、多くのミツバチの出迎えを受けた。

今回の旅では花蜜や花粉を集めるミツバチの姿をずいぶんあちこちで見かけた。そんなミツバチが、花蜜や花粉を集めている花はそれぞれの場所でほぼ一種に限定されているのが実に興味深い。

標高による流蜜期の差異、周辺に生えている草花との蜜源・花粉源としての相対的優位性などがその理由なのだろう。色々な花が咲き乱れるているフィルストの草原でミツバチが訪問しているのはミヤコグサ(の仲間)だけだった。

今回の旅を終えたら、「標高 vs 咲いていた草花の種類 vsミツバチが好んで訪れていた花」の相関図を整理してみるのも面白そうだ。
(グリンデルワルト泊)

2017/06/29

DAY 10TH:シュバルツゼー


シュバルツゼー(Schwarzsee 2583m)からフーリ(Furi 1867m)へ。

シュバルツゼー駅(2583m)を降りると周囲の山並みは白銀の世界。この数日間、市内では夜間雨がちな日が続いたが、その雨は山上では雪だったようで新雪が眩しい。気温は予想していた以上に低く、顔を打つ(雹)と耳を刺す強風に、歩き始めた時は果たして今日のトレイルは最後まで貫徹できるだろうかと危ぶまれるほどだった。

だがその心配も歩き出して30分もしないうちに杞憂に終わり、着込んだ雨ガッパやダウンジャケットを脱がなければならないほど天気は急速に回復し、振り向くと新雪で覆われたマッターホルンもが姿を現わすほどになっていた。

標高2400m付近まで下りてくると群青色のリンドウ(Gentiana verna)やスミレ(Vioola calcarata)など、春〜初夏の野草が山肌を埋め . . .


それらの野草を惜しげもなく食べる放牧中の羊の姿も見かけるようになる。

坂道を下るほどに、花はより大きく、より華やかになり . . .

標高2000m地帯に入ると、”これぞスイス”という感じの小さな集落が点在する。

村の入り口に立てられていた案内板によれば、1280年に書かれた土地、家、牧草地の利用権に関する契約書が現存するそうなので、今とそう大きくは違わない酪農家の生活形態が、この頃には既に確立されていたのだろう。
 (ツエルマット泊)