2023/05/18

”通い徳利”にシジュウカラ


近年ではあまり見かけなくなった”通い徳利”(別名、貧乏徳利、牡丹徳利)。ガラスの一升瓶が普及する以前の江戸後期から昭和初期にかけはずいぶん使用されていたらしい。客は量り売りで酒を買い、この徳利に入れて自宅へ持ち帰る。徳利は酒屋が販促用として常連客に貸し出すのが商習慣だったようだ。

ずいぶん以前、高幡不動尊ござれ市で手に入れた通い徳利をベランダの片隅に置いていたらその小さな口からシジュウカラが盛んに出入りしていることに今日気づいた。親鳥が留守にした時を見計らってスポットライトを照射して中を覗き込んで見ると壺の底に巣材が敷かれ、その上に9個の卵が産み落とされていた。

徳利の高さは30cm以上もあり、巣材の位置から出口までかなりの距離がある。徳利の中には羽ばたけるだけのスペースもなさそうだし、逆傾斜の陶器壁面をボルダリング的に登ることはまず無理だろう。産まれたばかりでまだ羽根の力が弱い雛が果たして壺の口から這い出せるだろうか?巣立ちが迫ったら徳利を横倒しにし外に出易いようにしてあげた方がいいだろうか?
親鳥たちが選択した営巣場所なのだから杞憂であろうがなんとも気になる。