都市での養蜂ブームは決して日本だけの話ではないよう。パリのオペラ座(Opéra national de Paris)や、ロンドンの大聖堂(St Paul's Cathedral)の屋上では、ずっと以前からミツバチが飼われていることは知る人ぞ知る話だ。
趣味の養蜂ブームが、田舎の山村・農村地帯から、都市郊外の一戸建て住民へ広まり、今では大都会のビルの屋上へと伝播している。都市型養蜂(Urban Beekeeping)の広まりは世界的な傾向で、かって"裏庭の養蜂家(Backyard Beekeeper)" と呼ばれていた趣味の養蜂家が、最近では"都会派養蜂家(Urban Beekeeper)"とか"屋上の養蜂家(Rooftop Beekeeper) "と呼ばれるように変わってきた。
そんな都会で飼われるミツバチに関する記事の中に、全仏養蜂組合会長の興味あるコメントがあった。(NBC News.com)
パリ市内で飼われているミツバチからは、一回の採蜜で最低でも50〜60キロのハチミツが採れるが、地方の田園地帯の養蜂では10〜20 kgしか採蜜できない。
その上、蜂群が消滅するトラブルは、パリ市内の飼育群では3〜5%に対し、田園地帯の養蜂群では30〜40%と格段に頻度が高い。同記事中には、「市内でミツバチの死滅が少ないのは、公園や街路樹には農薬や殺虫剤の散布が禁止されているせい」との公園管理者のコメントもあるがそれが都会派ミツバチが元気な最大要因とは思えない。
大規模単品栽培化の傾向はフランスの農村地帯でも例外ではないようだ。それに比べ、パリ市内の公園や街路樹、住宅街の花壇の植生が多様な植物層を構成し、バラエティーに富んだ花粉や花蜜をミツバチに供給する。そのことがパリっ子 ミツバチを元気にしている大きな要因なのでは、という気がする。