バリ島からシンガポールに帰り、オーチャード(Orchard)のショッピングストリートを歩いて久しぶりの "都会の空気" を味わっていた時、ふと見上げた街路樹の枝の中に奇妙な形状の物体を見つけた。樹皮の塊や枝の曲がりとは少し違う。
もしや!と思いカメラを取り出して望遠ズームでのぞいて見ると予想通りミツバチの自然巣だった。写真では何度も見たことはあるが解放空間に作られたミツバチ自然巣の実物を目にするのは初めて。それも世界の有名ブランドショップが並ぶシンガポール随一の繁華街のど真ん中でだ。
Honeybee in Singaporeで調べるとGiant honey bee(オオミツバチ)か、Dwarf Honey Bee(ヒメミツバチ)のどちらかのようだが正確には分からない(あるいは
Apis Javana?) 少しでも近くから撮影しようと隣のビルの二階に駆け上って写したのが上の写真(倍率20倍)。
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養蜂が盛んなインドネシアやマレーシアとは違いシンガポールはミツバチにとって決っして住みやすい国ではない。プロの養蜂家は一人もおらず、厳しい条件が課されるため
ホビー養蜂家も皆無に等しい。
"Pest Control" と呼ばれるシンガポールの徹底した防虫対策もミツバチにとっては厳しい環境だ。公的私的を問わず管理責任のある土地には週一回の殺虫剤散布が義務付けられており、そのすさまじい噴煙を見ると虫害以上の薬害があるのでは、と感じることさえあるほどだ。
自宅のベランダや庭の植木鉢などに水を貯め、ボウフラを発生させていることが立入検査で見つかると200ドル(約18,000円)、累犯になると最高5000ドル(=450,000円)もの罰金が科されるというのはよく知られた話だ。デング熱やマラリヤの予防が主目的らしいが、それだけとも思えない。蚊、蝿、蟻、ゴキブリなどと並んでミツバチもしっかりと" 害虫"対策の対象として敵視されている。
*下写真は民間駆除会社のWEB広告
Pest Controlは厳しすぎると異論を唱える人もいるがそれはごく少数派。そんな少数派の中に
"Bee Rescue Program" いう活動を展開している組織があったのでコンタクトし、Orchardの自然巣をPest Controlに抹殺される前にどこかに移せないものかと相談してみたが、「敷地のオーナーからの依頼なら別だが今回のケースはちょっと . . . 」と乗り気ではない。
シンガポールを発つ前日(8/31)に様子を見にいったが、巣はまだ健在だった。