2021/08/25

ツノハシバミ

 ツノハシバミ(Corylus sieboldiana)の実がだいぶ大きくなってきた。後一月も待てば食べられそうだ。

ツノハシバミの実を見ると連想ゲームのように思い出すのがオーデンセでの学校生活。ずいぶん昔のことだが、小田実の著書「なんでも見てやろう」に触発され、シベリヤ鉄道経由でデンマークに渡り最初の冬を過ごしたのがアンデルセンで有名なオーデンセの街の郊外にあるDalum Landbrugsskoleだった。

全寮制の学校で、寄宿舎と教室棟の間に大きな芝生の中庭があり、その片隅に大きなヘーゼルナッツ(=セイヨウハシバミ)の木が生えていた。授業が終わって寄宿舎へ帰る途中、その実を摘んで部屋に持ち帰り夜ポリポリとかじった。一番食べ盛りの年頃、多分寮の食事だけでは夜になると腹が減り、それを凌ぐためだったのだろう。
あのヘーゼルナッツの木は今でもあるだろうかと、学校の空撮画像で探してみたが記憶がいまひとつ曖昧で確定できない。

エゴノキの実

今年は庭のエゴノキ(Styrax japonica)の実が豊作だ。エゴノキの実は毒なので食べてはいけない、ということは知っている。果皮に含んでいるサポニンが消化管や胃壁を損傷するそうだ。

植物の根、葉、茎、実などに含まれるサポニンは”毒にも薬”にもなり、その性質は植物の種類によって異なるらしい。例えば、高麗人参、桔梗、アマチャズルなどのサポニンは、コレステロール除去、肥満予防、悪玉コレステロールの低減、血流改善、肝機能や免疫力の向上などの効能があり、漢方薬やサプリメントの貴重な原材料とされている。

一方、エゴノキのエゴサポニンはそのような効能はないようで、潰した果汁を川に流してアユやウナギなどを獲る”毒流し漁”に使われたという”毒”の面の方がよく知られている。その毒流し漁も、1951年施行された水産資源保護法で禁止されたので、”エゴノキの実を潰してウナギを獲って遊んだ”などという思い出を持つのは今では後期高齢者だけだろう。
ということで、今年豊作の我が家のエゴノキの実は、ヤマガラが冬越しの餌とする以外に使い道はなさそうだ。


2021/08/20

ワレモコウ


例年花茎をカメムシにかじられ花を咲かせる前に頭を垂れて終わってしまっていたワレモコウ、今年は見つけ次第駆除した甲斐もあってか数株が無事開花した。

今年の夏、八方尾根で見たワレモコウは我が家の庭のワレモコウに比べ二回り以上花穂が大きかった。調べてみるとカライトソウとワレモコウが天然交配したハッポウワレモコウ(Sanguisorba hakusanensis x S. officianalis)という種であることが分かった。

2021/08/19

キツネノカミソリ

庭の栗の木の根元でキツネノカミソリ(狐の剃刀 Lycoris sanguinea)が満開。春先に出た葉は球根に十分な栄養を蓄えると姿を消す。間もなく地中から一本の花茎がスッと伸びてきて先端に独特のオレンジ色の花を咲かせる。ヒガンバナやナツズイセンと同じく”葉見ず花見ず”と呼ばれる野草のひとつ。

名前の由来は、”葉をカミソリの刃に見立てて”とか、”花の色が狐色”などの説もあるようだが、”薄暗い林の中でひっそりと咲く花を狐火に例えて”という説が雰囲気として最も合う気がする。ただこの説では"カミソリ"の由縁については何も語ってくれないのが弱点。
であれば、一部地方で使われている”キツネノタイマツ”の名称が最適と思われそうだが、この呼び名はすでにスッポンタケ科のキノコの名前として定着しているだけでなく、ヒガンバナをキツネノタイマツと呼ぶ地方もあるらしいので話がややこしくなる。

2021/08/13

ノウゴウイチゴ

(左写真はWikipediaから拝借したもの)

ロックガーデンにノウゴウイチゴ(能郷苺 Fragaria iinumae)の苗を植えた。伯耆大山以北から北海道の日本海側の亜高山帯に自生する日本原産の野生の苺、江戸時代の本草学者飯沼慾斎が「能郷白山に自生している」と「草本図説」に記したことから命名されたそうだ。味と香りの良さで登山者に人気らしい。

岐阜、石川、福井、富山の県境に位置する両白山地、北の中心が白山(加賀白山 2702m)、南の中心が能郷白山(1617m)になる春、濃尾平野から北の国境を望んだときに一番遅くまで雪が残っているのが能郷白山だ。

能郷白山が位置する岐阜県本巣市の”議会だより(66号)”には、「北部高地ではノウゴウイチゴなどの希少な植物が観察され、イヌワシの姿も見ることができる」と記されている。
野生のノウゴウイチゴ観察と、憧れのイヌワシウォッチングを兼ねて訪ねてみたい気もするが、”登山道は急登の連続”とのネット情報もあり二の足を踏む。

 

2021/08/12

シナノナデシコ?


知人からいただいたシナノナデシコ(信濃撫子 Dianthus shinanensis) の種子をロックガーデンに蒔いた。シナノナデシコは亜高山の砂礫地に生育する多年草。北アルプスの長野県側に多く自生することからシナノ(信濃)の名前がついたそうだ。別名ミヤマナデシコ(深山撫子)。

シナノナデシコのタネと聞いた気がしているが、”タカネ”ナデシコの聞き違いかも知れない。高山性のナデシコの種子であることは確かなので、花が咲けばどちらの種かは容易に確定できるはずだ。
(上写真:左 シナノナデシコ 右:タカネナデシコ)

2021/08/11

八方池へ

白馬五竜高山植物園を訪ねた翌日八方池まで足を延ばすことにした。

天候はいまひとつだったが、登山道の道端には、ロックガーデンを造り始めてから特に興味を持つようになった、ハイマツ、ガンコウラン、クロマメノキ、イワイチョウ、コケモモ、ハッポウワレモコウ、ハッポウウスユキソウ、ミヤマコゴメグサ、タカネナデシコ、ハッポウタカネセンブリ、 . . . などの植物がが次々と姿を見せ飽きることはない小トレッキングコースを楽しめた。


帰路、木崎湖の近くにある北アルプス植物園に立ち寄ったが既に閉店時間を過ぎていて、お目当てのガンコウランとクロマメノキの苗木を入手する目的は果たせなかった。

2021/08/08

ヤマユリとコオニユリ


山荘敷地のあちこちでヤマユリの花が咲き出した。これからしばらくの間は庭の野草畑の主役になりそうだ。

以前敷地内にはコオニユリが多く自生していたが、いつの間にかその株数が減り、それにかわるかのようにヤマユリが増えた。ヤマユリは今年は20株以上が蕾をつけているがコオニユリは2株だけ。

NHK出版の「趣味の園芸」にコオニユリを種子から育てる方法が解説されているので、今年は自分もチャレンジしてみようと思う。数年がかりで庭に株数を増やし、さらにはお正月のユリネ料理も自家栽培のコオニユリから、. . . と取らぬ狸の皮算用。