2015/08/26

バリ島のミツバチ (2) - ココ椰子


バリ島の伝統的なミツバチ巣箱、材料はココ椰子の茎をくり抜いた樹胴を、果実(=ココナッツ)のハスク繊維で覆い、竹ひごで押さえ、椰子縄でらせん状に括って固定する。胴の両端はココナッツのシェルで蓋がけし、どちらの蓋にも小さな穴が開けてある。

3000種以上もあるといわれる椰子科の植物の中でココ椰子は最も利用価値が高い樹種。茎は、建物、家具、船、などの用材として使われ、葉は、屋根葺き、編み物、籠などの生活用具だけでなく、毎朝の神へのお供え物の容器になり、繊維は敷物、たわし、ロープ、刷毛などの素材になる。

果実は、ココナッツジュース、ココナッツオイル、ココナッツミルク、ナタデココ、. . . などのバリ島の人達の料理には欠かせない食材になる。

そんな貴重なココ椰子だから、樹勢の強い時はココナッツの収穫に利用される。切り倒してミツバチ巣箱として利用できるのは、木が老いてつける果実が少なくなってからということになるのだろう。


Warung氏の蜂洞は軒下に吊るされていたが、パーマカルチャーセンターの巣箱はかなり高い木に吊るされている。地面近くの水や湿気を避けるのと、地上にいる蟻やトカゲなどの外敵の侵入を避けるためだろうと推測する。

あるいは高く設置した方が分蜂群捕獲のチャンスが高まり、飼育ミツバチが花蜜を集めるのにも効率的ということもがあるのかもしれない。生い茂った熱帯雨林の森の中では、花々は木々の先端に咲く。従ってミツバチの採餌圏も梢近くの高層圏になるはずだ。

右写真は、地上高15mほどの椰子の花に集まってリスと花蜜を取り合っているミツバチの姿。写真ではよくわからないがかなりの数のミツバチが集まっていた。(撮影地はバリ島ではなくシンガポール植物園)
ココ椰子の樹高は20〜30メートルにもなるが幹周りはそう太くはならない。また均等な胴周りの太さは蜂洞製作に適している。今回入手した蜂洞は直径はおおよそ25センチ。日本ミツバチの飼育には容積がやや小さい。ココ椰子蜂洞を待ち箱として利用し、捕獲した分蜂群は日本伝統の重箱式巣箱に移し替えて飼育するという、バリと日本の伝統養蜂のコラボも一計かもしれない。