2016/11/11

銀杏(ギンナン)

かっては街路樹の花形だった公孫樹(いちょう)の木には、果肉が放つ強烈な匂いが嫌われ、新たに植えられることがすっかり減ったばかりか、実をつける雌木は切り倒されてしまうという受難の時代があった。

そのせいもあって東京近郊の公園や街路樹で公孫樹の雌木を見かけることはまれになり、東京で銀杏を拾うのはそうたやすいことではなくなってしまった。目をつけておいた雌木も、朝寝坊をして出かけたのでは、踏み潰された臭い果肉だけが残されて、かんじんの種子の方は姿を消している。

ところが八ヶ岳南麓周辺では公孫樹の雌木はまだかなり目につき、果実もその独特の匂いを発しながらいつまでも地上に散らばったままになっている。ネット入りの銀杏がスーパーで売られていることから察すると、決っして地元の人が銀杏を食べないというわけではなく、ただ単に自分で苦労して拾い集めるほどの暇人は少ない、ということなのだろう。

数日前に拾い集め、ビニール袋に密封して庭の片隅に置いてあった銀杏の果肉が大分腐敗してきたようなので、今日は水洗いし種子を秋の陽光に干した。お正月の茶碗蒸し用としては十分な量が収穫できた。