U君、メールありがとうございました。
我家の蜂場を見学されてU君が抱いた感想や疑問には、U君がNGOメンバーとして東南アジアや中国での森林調査・植林事業に携わった経験が垣間みられ興味深く読ませてもらいました。
我家の蜂場を見学されてU君が抱いた感想や疑問には、U君がNGOメンバーとして東南アジアや中国での森林調査・植林事業に携わった経験が垣間みられ興味深く読ませてもらいました。
U君からの問題提起が多岐のテーマに渡っているため、全てにお答えするまでには多少時間がかかりそうです。そこで、このブログ上で一般的なテーマから順次返答をさせてもらうことにしました。
また、U君からの質問内容をこちらで勝手に整理し、要旨としてまとめさせてもらいましたこともあわせてご了承下さい。
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薪炭需要の低下で雑木林の萌芽更新がなされなくなり、里山の樹木花が減ったり、秋の山野草が少なくなった。そのため、里山がかってほどの蜂群数を維持できなくなったことがミツバチ減少の原因では?
- 確かにミツバチにとって蜜源環境は一番大きなファクターであることはご指摘のとおりと感じています。そして、その蜜源環境の劣化は里山以上に、その先の“奥山”で起きたのでは、と私は推測しています。
昔から養蜂が盛んな地域、九州椎葉村、和歌山の熊野、信州の伊那、. . . などの自然が、里山というより奥山の森林形態であることがその理由の一つです。
[春:奥山で分蜂群を捕獲]→ [夏:里に降ろして飼育]→ [秋:ハチミツを収穫し蜂は自然に放つ]→ [冬:放たれた蜂は奥山に帰って越冬]→
. . . というのが日本の伝統的養蜂のサイクルだったのではと想像しています。
- ただ一方で、もしそれが主因とすれば、ミツバチの減少はもっと早くから問題視されていたはずなのでは、との疑問は残ります。
戦後の植林事業で多くの広葉樹林や照葉樹林帯が針葉樹を中心にした人工林に変ったのはもう随分以前のできごとです。ここ5〜10年間に起きている(と言われている)ニホンミツバ チ群減少の主因とするには余りにも時間差があり過ぎるような気がしないでもありません。
- 更には、「最近ニホンミツバチが減った」ということ自体についても、もう少し検証する必要があるのかも知れません。
確かに、最近自然巣からの分蜂群捕獲が減った、という話はベテラン養蜂家からよく聞きます。ただ、だからと言って「ニホンミツバチの絶対数が減った」と結論づけるのは早計かもしれません。もしかしたらミツバチの生息域が変化しただけ、という可能性も考えられます。
この問題は、この数年、輸入禁止に端を発した養蜂用種蜂や受粉用蜜蜂の不足問題と混同して語られることもあり、問題の所在を一層不鮮明にしているように感じています。
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セイヨウミツバチに比べて、研究論文や調査データーが圧倒的に少ないニホンミツバチについて語る時、多くのことが推測や仮説だけでの話になってしまうのは歯がゆいところです。
でもここ数年、ニホンミツバチへの関心も高まり、研究・調査を行う大学や研究機関が出始めているようです。近い将来、ニホンミツバチの実態についてもより“科学的”な説明がなされる日も近いのではと期待しています。
次回は、ニホンミツバチの減少問題に、趣味の養蜂家がどの程度貢献できるのか?とのテーマについて私の考えを述べさせていただこうと考えています。