最近見かけたスズメバチの巣三態。どれも径5〜10センチ程の小さいももの。営巣途中で放棄されたのだろう。(注)
左端写真は逃去後巣内に残されたニホンミツバチの巣板。
ミツバチが巣箱から逃去するのは;
- 周辺の蜜・花粉源の枯渇
- 巣箱近辺の環境不良 (強風、直射日光、湿気、振動、異臭など)
- 害敵 (盗蜂、スムシ浸食、スズメバチ・アリ・熊などの攻撃)
- 群の増勢による巣箱内スペースの不足
- 採蜜や養蜂管理の不手際
これらミツバチの逃去理由の中の何かが起きたため、スズメバチが巣造りを途中放棄(=逃去)したのだろうか?それともハチ目昆虫にとって逃去はごくありふれた自然の生態なのか?
疑問と興味が湧いてくる。
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「逃去」という言葉は “ミツバチを自分の巣箱の中に拘束しておきたい”人間の側から見た呼称。だから、スズメバチが巣を放棄しても誰も“逃去”とは呼ばない。
この春に体験した多くの分蜂、分蜂群の捕獲、一部捕獲群の逃去。また、自然に帰っていったフクロウの巣立ち。それらを見ていて、「ミツバチの逃去」について色々と考えさせられるところがあった。
そんな時に改めて読み返した玉川大学ミツバチ科学研究センター 佐々木正己教授の「逃去」に関する解説。
(ミツバチが逃去すると). . . 飼っている者としては落胆する。しかし、ミツバチの側から見れば、理由があって逃げるのである。
そもそも「逃げる」というより、具合の悪い場所に見切りをつけて、心機一転「再生」を図るわけで、むしろ積極的な行為といえよう。. . . (佐々木正己著「ニホンミツバチ—北限のApis cerana」p142)
Sustainable Beekeepingを目指す趣味の養蜂家にとっては多くの示唆を含んだ言葉だ。
注記:
営巣場所は、左から庭のコナラの小枝、分蜂群待受巣箱の中、アオハダの梢。何スズメバチ、あるいはアシナガバチかはまだ 同定できていない。