2014/07/11

ダ・ヴィンチ・コードとみつばち巣箱


やや旧聞になるが、“ロスリン礼拝堂にみつばち巣箱" の話題は興味と想像力を刺激されるニュースだった。

1446年、テンプル騎士団により建造されたスコットランド、エディンバラ郊外にあるロスリン礼拝堂。聖杯伝説、十字軍、フリーメイソン、メロヴィング王家等々、歴史の襞(ひだ)に隠された部分との繋がりが語られ、今でも建物のそこかしこに暗号メッセージが刻み込まれていると言われ、“スコットランドで最もミステリアスな場所”と呼ばれている。

そのロスリン礼拝堂が、「ダ・ヴィンチ・コード」(Dan Brown著)のクライマックスの舞台として選ばれ、イエスの子孫に関する重大な秘密がそこで解き明かされた。そして、そのことが世界最古の石造みつばち巣箱の発見につながった、というストリー展開がなんとも面白い。

ダ・ヴィンチ・コードが出版された2003年以降、ロスリン礼拝堂への観光客はうなぎ上りに増え、教会はその拝観料収入でおおいに潤ったらしい。その資金で大掛かりな改修工事が計画され、石組みを1個づつ解体して補修工事を進めていると、南北の小尖塔の下に各1基づつ置かれたみつばちの石窟巣箱が見つかった。

礼拝堂の造営時に造られた巣箱で、蜂蜜を採るためでも建物の装飾のためでもなく、みつばちに安寧の棲家を提供することを目的に置かれたものであることが明白な造りとのこと。石窟内には干からびた巣板がタップリと残っており、修復工事のための素屋根で覆われる直前までみつばちが住んでいた痕跡が認められたそうだ。

ロスリン礼拝堂が(そして同時にみつばち巣箱が)造られたのは、日本で金閣寺が建造された時代。爾来みつばちはこの石窟巣箱で、雨風をしのぎながら、花蜜を集め、蜂児を育て、分蜂を繰り返し、営々と生命のタスキを子孫につないで来たのだろうか?それ以上に興味深いのはなぜ礼拝堂にみつばち巣箱が?

その理由を、テンプル騎士団フリーメイソンと関連づけたり、マグダラのマリア聖杯伝説、あるいは、メロヴィング王家の墓地から発見された黄金のみつばちと結びつけて解説を試みようとする人もいる。

ロスリン礼拝堂の一番のミステリーは「ダ・ヴィンチ・コード」から「みつばち巣箱」に移った感があるが、ノンフィクションであるこちらの謎解きの方がダ・ビンチ・コード以上にエキサイティングであることは確かだ。注意深くフォローしておきたいトピックス。

備考:写真はBBC News(中)と、"We love Medieval History"(下)から拝借したもの。