「携帯電話の電波は、ミツバチの脳に混乱を与える。だから、養蜂作業をする時、携帯電話は持たない方が良い。」
. . . 数日前、近くの蜂友数名が山荘に集まった時に出た会話。「CCD携帯電話犯人説」の実務版とも言える。
この話のそもそもの発端は、2006年に
ドイツで発表された一つの研究論文。
高周波電磁波は、人間に健康障害を来すか?、の論争に関連して行われた研究で、実験材料にミツバチが使われた。
実験で、高周波電磁波被爆組と非被爆組の間に、帰巣率比較で有意な差異が見られた。これに一部のマスコミが飛びついた。そして、尾ひれを増やしながら駆け巡り、「CCD(蜂群崩壊症候群)携帯電話犯人説」が世界中に広まった。
めぐりめぐってこの話は、「ドイツ・ランダウ大の研究チームは、携帯電話がミツバチの近くにある場合、ミツバチが巣に戻れないとの事実を確認した」 と断言されることになる。
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上図はこの研究で使われた実験装置。巣箱底部にコードレス電話の送信器を組み込んだもの。携帯電話はどこにも見当たらない。
研究論文を発表したJochen Kuhn博士本人も、“私達は、決してミツバチの研究をしたわけではないんです” と困惑しているとも聞く。
この話、CCD という不可解な出来事が背景にあったからこそ信憑性を持って語られる話。その上、CCD自体がまだ解明されていないため、携帯電話説でさえ誰も頭から否定できない、という側面もあるから話がよけいにややこしくなる。