(副題:ミツバチが消えた沈黙の夏、船瀬俊介著、三五館、1400円)
アメリカで頻発しているミツバチが突然姿を消すという峰群崩壊症候群 (CCD=Colony Collapse Disorder)を取扱った書。
CCDは、ヨーロッパや日本でも起きており、NHKのクローズアップ現代(6/12)や、雑誌AERA(4/23号)でも取り上げられたテーマだ。
巣箱の中や周辺に死骸が全く見当たらないため、なんらかの原因でミツバチの脳神経が冒されて航法システムが撹乱されて自分の巣に帰れなくなってしまったのでは、と言われている。
原因として、農薬(ネオニコチノイド)説、携帯電話アンテナ説、ポリネーションでの酷使による過労説、地球温暖化説、. . . 等々が取り沙汰されている。中には“地球の世紀末の予兆”という怪しげな説まである。
同書は、 新農薬ネオニコチノイドが主犯、と結論付け告発したもの。
取り上げたテーマや、農薬害を危惧する著者の意見には共鳴する面も多いが、ややエキセントリックな表現には違和感を覚える。ましてや、かのレイチェル・カーソン女史を引き合いに出し、“「沈黙の春」へのオマージュ”とまで自評するのであれば、女史のように、冷静、かつ論理的にこの問題を掘り下げて欲しかった。
図書館から借りて一読する本。