2009/03/09

なぜ?


八ヶ岳南麓日本ミツバチの会から、 “最近、会員間でミツバチの死滅・逃去のケースが頻発している。明日緊急の討議の場を設けたい。” とのメール。予定を変更し急遽八ヶ岳へ。

会員が飼育する蜂群は約60、その内20群が昨年の秋以降消滅したという。飼育が難しいと言われている日本ミツバチ、この “3割の消滅” が異常な数値かどうか、比較するデーターがないので判断できない。ただ、ハチが消えた(あるいは死滅した)巣内に、貯蜜や蜂パン(=花粉)がタップリ残されている、というのは不自然であることは確かだ。

女王蜂の老衰や事故死、天敵からの攻撃、農薬禍、食料不足、凍死、. . . 。推測できる原因は色々考えられるが、各人の体験はさまざまで、報告の中で共通する要因は浮かび上がってこない。ただ、蜂群が 「組織として機能していなかったのでは?」と伺わせるような情報がいくつかあったのが気に掛かる。

緻密な役割分担制と、高度なチームワークで成り立っているミツバチの生活。そのシステムの一点を阻害することで組織のバランスが壊れ、群全体が消滅してしまうことはあり得るはずだ。

(1) 何かの要因がミツバチの生活サイクルの一部を阻害した。
(2) そのため女王蜂の産卵行動に異常な減少 (or 増加)を来たした。
(3) その異常産卵で、蜂群の蜂総数量や年齢構成が不適正になった。
(4) 適正な蜂群組織へ復元しようとしたが、時既に遅く、外部の環境が変化(花蜜減少、気温低下など)してしまっており上手くいかなかった。
(5) そして、ミツバチ組織はアンバランスな体制のまま冬を向かえた。
(6) 厳しい冬季の環境の中で蜂群組織は徐々に衰退、ついに臨界点に達して群全体が崩壊に至った。

もちろんこの推論だけで今回の逃去・死滅事故の全ての事例を説明することは無理だ。ただ、当てはりそうなケースがいくつかあるようにも感じる。
この仮説を検証するためには . . .

(a) 『生活パターンを阻害」する可能性のある要因を、「外部環境の変化」、「蜂群の状態・行動」、「飼い主の作為」の3点から全てリストアップする。
(b) それら要因事項に注視しながら観察データーを蓄積する。
(c) ある程度のデーターが揃ったら時点で、要因と蜂群の変化を時系列で分析し、因果関係を示唆する要因を推定する。
(d) 疑わしい要因とおぼしき事項を、蜂群に人為的与え、逃去・死滅の発生確率を見る。

. . . ということになるだろうか。
地道で気の長い作業になるが、“趣味の養蜂家” だからこそ出来る活動かも知れない。

ともあれ、会として「共通の観察・評価フォーマット」を作成し、客観的なデーターを蓄積していくことは緊急な課題。それなしでは問題解決の糸口も見えてこない。

(写真はENCYCLOPAEDIA Britannicaから拝借したもの)