以下にこれまでに観察した結果を中間まとめとして記録しておく。
観察された現象:
1) 飛翔する力がない (= 空中に投げ挙げるとそのまま地面に落ちる)
2) 地面を這う姿はあたかも自分の意思で巣箱から遠いところへ逃げようとするよう見える
3) それらのほとんどの蜂の翅の形状が異常(= 異形の大半は内側の翅)
4) 強制的に巣門の近くに移動させてみても巣門に入ろうとする意思は全く見せない
5) また、巣門直近に置いた蜂に対し門番蜂は無関心(通常は近づいてフェロモン香を嗅ぐ仕草をする)
6) 巣門近くに砂糖液を置いても飲もうしない。
7) 消滅後の巣内の様子
(b) 幼虫の死骸らしきものもあるが既に日数が経過し乾燥状態のため確認できず。(現在継続調査中)
(c)残された貯蜜は多く、その全ては蓋掛けされた状態
(d)7枚の巣板の中央板の中心部に防寒蜂球を作るため巣板空洞が作られている
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蜂友AR氏に顕微鏡検査、信州日本みつばちの会 会長富永朝和氏に長年の養蜂経験の知見を尋ねた結果は以下のとおり。
- 表面皮膚にミツバチヘギイタダニなどは見当たらない。
- 解剖下で内蔵顕微鏡検査をしたが、気管に寄生すると言われているアカリンダニの寄生の痕跡は見つからない。
- 翅のつけ根付近に鬱血と思われる痕跡が見られる。
(右写真 AR氏提供の胸部内蔵の400倍顕微鏡写真、フロキシン染色下)
信州日本みつばちの会会長 富永朝和氏のコメント:
- 飛べない蜂の発生は時折見かける現象
- 理由の多くは、仲間の蜂に噛み付かれ翅を傷めたため。巣箱内を覗くと数匹の蜂が一匹の蜂によってたかって攻撃している光景を目撃できるはず。 攻撃を受けた蜂は、仲間から無視され、巣箱外へ排除される。
- これは、蜂群が将来の貯蜜不足など、“蜂群全体にとって不都合な事態”を予見し、蜂総数を減らそうとする自然調節行為と推測している。
- 女王蜂の事故死、弱体化などの理由でこのような“統率のない行動”が起きる可能性もある。
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現時点での結論/仮説は . . .
- ”地を這う蜂”は、翅を傷めて飛ぶことが出来なかくなったせいであるのは事実。
- その理由はアカリンダニの寄生ではなく、また、空腹や寒さのせいではなさそうだ。
- であれば仲間からの攻撃で翅を傷めたと考えられるが、仲間がなぜそのような攻撃行動に出たかその理由は不明。
今後継続して情報収集、類似現象の観察をに努めたい。