2011/02/17

吉田翁の辛言

「実驗養蜂新書」に気にかかる一文があった。“時騒ぎ”と“低温管理養蜂”の両方に関わりそうな内容。

“87箇所の自然巣”のミツバチを観察をして得た結論として、吉田翁は次のように記している。(頁 34/86〜40/86 “養蜂場の選擇”、意訳)
気温が氷点下になると、ミツバチは巣内に引き籠もる。この時ミツバチの体内活動は鈍化し、ほとんど停止した状態になるので寒さはそれほど感じていないようだ。だから貯蜜もあまり消費しない。

ところが、早春に気温が摂氏10度くらいに上がる日があると、日当たりが良い位置にいる蜂群はすぐに引き籠もりから起き出して運動を始める。ところが、その後寒さがぶり返し気温が再び氷点下になると、ミツバチは寒さをこれまで以上に強く感じるようになり、暖をとろうと貯蜜をドンドン使い始める。

そして貯蜜を消費し過ぎて、花が咲く前に餌が欠乏し終には群全体が死滅する。餌不足が起きなくても下痢を発症し全群衰退に陥る不幸をきたすこともある。

だから、最初に巣箱を置く場所の選択は非常に重要だ。建物を北にした日当たりの良い位置などに巣箱を置くのは良ろしくない。
吉田翁の蜂場は日光の山間部。気象条件は八ヶ岳南麓と近似しているので、翁の経験知は我家の蜜蜂達にも当てはまるはずだ。
ということは . . .
  • 冬期間、“引き籠もらない”でしょっちゅう時騒ぎを起こしているのは好ましからざる状況?
  • その原因は、我家の巣箱の位置は陽が当たりすぎ?あるいは、 防寒シェルターがオーバースペック?
そして同章は、次のような耳に痛い言葉で結ばれている。
養蜂家は、自己の思想通りにせんで、彼等の自然の住み方を研究すれば、すぐと領解し得ることである。