2010/05/10
TBHに曙光
昨日の夕方、カナルシャ群を初めて内検。5月4日に分蜂蜂球を取込んでから5日目というまだ新しいコロニーだが、既に5枚の巣板を造巣中だ。
使用している巣箱素材は府中の可ナル舎で購入したもの。「趣味の養蜂では巣箱も庭のエクステリア風に」を目指した最初の試作品。
英国チャンドラーおじさんのコンセプトに、明治の養蜂家吉田弘蔵翁の知恵を加えて製作した古民具調TBH(Top Bar Hive、上桟式巣箱)。実際に使用するのはこの群が初めてだ。
感動的なのは整然と作られたその巣板の美しさ。それぞれの巣板がバーの中心線に沿って真っすぐに並び、もちろんバーを跨いでの造巣や、乱雑巣などは全くない。
平面の天井板と比較し、三角棒への“二面接着”は、吊り下げ強度や、左右への揺れへの耐性を高め、巣板落下の事故防止にも貢献しそうに見える。
(背後写真は、伝統的なニホンミツバチ巣箱の平面天板に接着された巣板。)
採蜜では、貯蜜が最も多い巣板を1〜2枚抜かせてもらう。ミツバチ自身が越冬に必要な食料を考慮した採蜜量調整が可能なだけでなく、育児圏を残して卵や幼虫は保護できる。*(注)
このことで、採蜜後の逃去や、冬期間の蜂群消失リスクを低減できるかも知れない。
群が大きく育ち、この巣箱が手狭になった時には、もっと大きな容積の巣箱へ巣板ごとトップ・バーを1本づつ移せば良い。
もちろんまだ断言するには早過ぎるが、吉田翁の“三角棒”と“一寸一分(=33mm)”の知恵は、 「ニホンミツバチをトップ・バー巣箱で!」の試みに、一つの方向を与えてくれたような気がする。吉田翁に感謝。そして、吉田翁の書を教えてくれたO島@山梨さんに改めて深謝。
カナルシャ群は間違いなくこの巣箱を新居と決めたようだ。
(注) 通常、貯蜜は両外側に近いトップ・バーにできた巣板に、育児圏は中心部の巣板にと分かれるらしい。6〜7月頃にはそのことも自分の目で確かめられるはずだ。