プログラムの中で特に興味を引いたのが名古屋大学門脇教授による特別講演「国内蜂群におけるアカリンダニ類と各種病原体の浸潤」。
昨年度から全国レベルでスタートしたミツバチの寄生虫や各種病原体の感染状況に関する疫学的調査の結果報告。
その講演の中で、門脇教授から気になる発言があった。
“セイヨウミツバチと異なりニホンミツバチはダニやウィルスに強い。だからそんなに問題視する必要はない。” . . . これまでニホンミツバチ愛好家の多くがそう信じてきた。でも状況は変りつつあるのかも知れない。
- セイヨウミツバチとニホンミツバチの間で寄生虫やウィルスの異種間感染が推定される。(注1)
- 海外からの輸入だけでなく、国内でいたずらに遠くからミツバチを移入することは、ウィルス伝播のスピードを早めるリスクがある。(注2)
“TBHで飼育されたミツバチは健康的”というWEB上での情報が自分がTBHに興味を持った理由の一つ。トップ・バー巣箱での実験飼育も今年はもっとスピードアップする必要がありそうだ。趣味の養蜂で「殺虫剤」を使用しなければならない、ということにでもなれば本末転倒になってしまう。
注(1):
ニホンミツバチ巣箱へのセイヨウミツバチの盗蜂行動が感染経路では、との門脇教授の推測。
また別の講演では、ニホンミツバチとセイヨウミツバチの異種間交尾を証明する決定的は映像が示された。「樹冠上部でのニホンミツバチ女王蜂と雄蜂の配偶行動」(玉川大学教授 吉田忠晴)
ニホンミツバチとセイヨウミツバチ間の接点は意外と多そうだ。
注 (2) :
リスク可能性の一例として門脇教授が講演の中で取り上げたのがサック病の原因ウィルスSBV(sacbrood virus)。
今回の調査で、SBVは九州、四国、中国地方のニホンミツバチからだけ検出され、飛騨・長野地方のニホンミツバチでは見つからなかったという。SBVの感染はまだ西日本地区に限定されたものではないか?であれば、趣味の養蜂家がいたずらに西日本から東日本の地にミツバチを移動するのは考えものでは?
. . .というのが教授の見解。
蛇足:
門脇教授の今日の発表内容はまだ研究誌掲載に至ってないとのこと。ただ、類似のレポートが以下で入手できる。. . . 調査レポート(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 畜産草地研究所)