2009/01/28

星空のロマンス . . . 「蜂の巣星団」つづき


昨夜寝床で読んだ野尻抱影著「星空のロマンス」(筑摩書房発行)に、“蜂の巣星団”に関する記述があった。

「イギリスでは別にビーハイヴ(Beehive)すなわち蜂巣と呼んでいる。この名は比較的近世のもので起源は分明(ぶんみょう)ではないそうである。」

“ 起源は分明でないそうである” の記述がひっかかるが、文献調査はイギリスに絞り込んでいいということは確かなようだ。

同書には、この星団が吉凶の占いや、天気予測と結びつけられていたとも述べられ、天気に関しては次ぎの二つの文章が紹介されている。

ローマの博物学者プリニウス . . .
「もし晴夜にプレセペが隠るることあれば暴風雨至るの兆しなり」

ギリシャの詩人アトラス 注/秣槽(かいばおけ)はラテン語名プレセペの意味

晴れたる夜にも秣槽忽然と消ゆれば
二つの星転(まろ)び合いて近づくとも見ゆることあり。
この時は風雨あるとも牧場を浸すに至らず。
秣槽は暗く、星は二つながら
変わることなければ、雨至る兆しなり。
もし北なる驢馬雨雲に淡(うす)れて、
南なる驢馬輝きて見ゆれば南の風起こる。
もし雨気と光と星を代ゆれば北の風の兆なり。」

余談 その(1):
明治40年、早稲大大学の英文科を卒業した野尻抱影は山梨県立甲府中学の先生として赴任し、毎晩、星空眺めていたそうだ。野尻抱影も自分と同じく八ヶ岳や南アルプス上空の星空を見ていたのだ。そして一方は、星にまつわる珠玉の随筆を数多く残した。


余談 その(2):
「星空のロマンス」は、20年ほど前に新本(初版本)を2500円で購入したもの。インターネットをみると“コレクター商品”と称して18900円で売っている輩がいる。それも“第2版”ものをだ。