八ヶ岳高原での養蜂で秋の採蜜は正しいか?これまで漠然と持っていた疑問が、蜜源調査を進めて一層強くなってきた。
八ヶ岳高原での開花は、遅く来る春から短い夏の間に集中する。標高の高い場所では、秋の花は限られ、冬の花木は皆無に近い。
ミツバチは採蜜直後から、新たな巣板を作り、蜂群を増強し、越冬に必要な蜜や花粉をゼロからの蓄えなければならない。秋の採蜜では、周辺の花粉源・蜜源は限られ、集蜜活動も効率が悪いはずだ。
ミツバチの越冬準備がまだ整わないうちに冬に入ってしまう、ということもあるに違いない。
先駆者達の間でも「採蜜のタイミング」について様々な意見があるようだ。例えば . . .
. . . (採蜜は)春季が最も適当で、秋季がその次である。. . .
(実験養蜂新書 - azumasy)
. . . 春になり野山で草木の花が咲き出し、花の蜜が溢れ出す頃になって始めて採蜜する。
(History of Beekeeping - suite101.com)
. . . 紀伊山地地方では六月から七月中旬までに採蜜を行う。. . . 秋はニホンミツバチが集める蜜源植物が少なく、秋から冬にかけてあまり蜜を採取できないからである。
(ニホンミツバチの文化誌 - 日本財団図書館)
. . . 冬期間の蜂群喪失の最大要因は“飢餓”である。春まで十分な食料をミツバチのために残すよう養蜂家は慎重に判断しなければならない。
(Preparing for the winter - エジンバラ養蜂組合)
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それぞれの結論には多少の違いがあっても、“越冬に十分な貯蜜をミツバチに残せる”ような、採蜜のタイミングと採蜜方法を重視していることはどの説にも共通だ。
八ヶ岳高原の養蜂で秋の採蜜にはかなりの疑問を感じる。ましてや、「全巣板からの採蜜」は無謀な行為と感じるのだが?
(写真は、Crabtree Pub Co刊、Runny Honey (Tadpoles)の表紙の一部です)