ミツバチ研究の高度な内容を、動物生理学者 桑原万寿太郎氏 が、小中学生向けに分かり易く解説した本。
岩波書店「少国民のために」シリーズの一冊。昭和29年発行で定価200円。
紙質のせいもあるのか、紙面はすっかり変色してはいるが、中味は今でも新鮮で読みごたえ十分。ミツバチ研究の全体像が、難しい論文を読むよりはるかに良く理解でき、ミツバチへの興味をかきたてる。“むずかしいことを、やさしく表現”した良文・好著。
巻末の編集後記からは、当時の日本社会の空気や、かっての “岩波文化” の香りも漂ってくる。
昨日の午後、神田神保町大雲堂書店で見つけた、新古書価格1000円の良い買物。編集後記:「父兄ならびに先生方に」*抜粋
“この敗戦後の今日、日本はいやまさる困難に直面し、私たちの少国民に対する期待は、なおいっそう大きく、なおいっそう切実であります。. . .
この本は読者として小学校上級生と中学生とを予想し、. . . 科学的知識と科学的探求とを常に結びつけて . . . 読者の理解力のおよぶかぎり明らかにし、. . . 多難な次ぎの時代を担当すべき少年少女諸君に対する、私たちの大きな期待から生まれました。 ”