降り続いている雨も3日目。退屈しのぎに「ニホンミツバチの文化誌」を読み返していたら興味ある論文が目に止まった。
伊那谷では、標高約300メートルの天竜川沿いの低地から、1100メートル近い山間部の高地まで、かなり標高差が大きい地域でニホンミツバチが飼育されている。その伊那谷では、低地と高地で使用する巣箱がハッキリ別れているのだという。
天龍村を中心とする低地では縦置き型巣箱、大鹿村など秋葉街道沿いの高地では横置き型の巣箱を使用している(していた?)とのことだ。なぜ高地が横型で低地は縦型なのか?同書にはその背景については述べられていないが、養蜂の歴史の中で経験則で淘汰されてきた結果と推測できなくもない。
ここ1〜2年、八ヶ岳南麓では横型から縦型巣箱へ変更する流れがある。“採蜜が容易”というのが主な理由だが、もし伊那谷における縦型・横型の分化の背景に“気象環境”的な側面があるとすればこの流れは再考の余地があるのかも知れない。八ヶ岳南麓の気象環境は天竜村より大鹿村に近く、明らかに高地横型巣箱圏と思われる。
- 参考文献: 「ニホンミツバチの文化誌」、“伊那谷における養蜂”、“山地型と低地型”
「ニホンミツバチの文化誌」は、日本財団電子図書館から無料でプリン トアウトできる。
- 図は、「伊那谷における養蜂」から借用。
図中の●はニホンミツバチが飼育されている集落を、★は、特に飼育者が集中している伊那谷におけるニホンミツバチ飼育の中心地を示している。