“垂れ蜜”の明確な定義は、JAS法にも、日本養蜂はちみつ協会の規格にも定められていない。大雑把に言えば、巣板から“自然に垂れ落ちる蜜を集めた”ハチミツということなんだろう。(と言っても巣房の蓋は人為的にカットするが。)
以下は“私流”の垂れ蜜工法。
用具:
使用する採蜜用具は全て家庭用品からの転用。
- ホーロー製保存容器(29cm, 19L)
- ステンレス製深型ザル(33cm)
- 滅菌ガーゼ
- 包丁
- 濡らしたフキン
包丁で貯蜜巣板の蓋を切り、蜜が垂れやすいようにしてガーゼをかけた深型ザルに盛って蜜が自然に垂れてくるのを待つ。これが採蜜の中心作業。
2年もの貯蜜:
「垂れ蜜」作りには、2年以上巣房で熟成された貯蜜部分をカットして使う。
① 蓋掛けされた2年以上もの貯蜜。
② 蓋をナイフで切った姿。
③、④が一年もの。
とは言っても、写真(⑤)のように、巣板によっては部分的に1年ものが混在している場合もあるので、多少1年ものが混じるのはやむを得ない。
ただ、巣房でまだ“蓋掛けされていない”蜜はかなり厳格に除外している。
1年もの貯蜜や、貯蜜部以外の巣房が混じったものは、濁り蜜を作ることもあるが、ほとんどはミツバチの給餌用として利用する。
一番絞りと二番絞り:
虫やホコリが入らないように密封し、日向に置いて蜜が滴り落ちるのを待つ。ここでできるハチミツを我家では“一番搾り”と呼んでいる。
1番絞りには、花粉粒も多く含まれ滋養も高く自然蜜に最も近いハチミツ。ただ、世間では透明度が高く、スッキリした味を好む人が多いのが現実で、また、大きめの花粉粒が混じるとゴミと勘違いされることもある。そこでこの一番絞りを再度濾過して出来るのが“二番絞り”。この時のガーゼは二重にする。
一番絞りはもっぱら自家用と来春のミツバチ給餌用、二番絞りは知人・友人へのプレゼントや客人をもてなすためのものになる。
蜜蝋と備蓄:
巣板の最終残りカスを熱湯で煮てキャンドル用の蜜蝋を作り、一番絞りのハチミツのおよそ半分を、来春早々にミチバチが食料不足に陥った時の防災食備蓄として、人間が見つけにくい場所に隠して採蜜作業の全工程が終了する。
(蛇足)
採蜜時期はいつがベストかは議論の分かれるところ。夏の採蜜は初めての経験だ。
また、「ハチミツの組成は10度C加熱されると10%破壊されるといわれていて、60度Cもの高温で加熱されればほとんどの組成が失われてしまいます。」と記述された本もある。(「ミツバチが泣いている」 上之二郎著 )。検証データーが見つからないので詳細は不明だが、夏の時期の採蜜では直射日光に当て過ぎない注意も必要かもしれない。
また、「ハチミツの組成は10度C加熱されると10%破壊されるといわれていて、60度Cもの高温で加熱されればほとんどの組成が失われてしまいます。」と記述された本もある。(「ミツバチが泣いている」 上之二郎著 )。検証データーが見つからないので詳細は不明だが、夏の時期の採蜜では直射日光に当て過ぎない注意も必要かもしれない。