考えてみれば、女王蜂の全てが寸分違わないサイズであるはずはない。同じニホンミツバチとはいえ、個体差があるのは至極当たり前のことだろう。
であれば、隙間が固定された市販のハチマイッターやSスクリーンでは全ての蜂群に対応できないケースもあるはずだ。事実、K型スクリーンの名称で、格子幅を微調整できる器具が特許申請されてもいるのもそのことを裏付けている。
そこで、格子隙間がアジャスタブルな“ハチマイッター”を自作することを思い立ち、この春の分蜂捕獲群で試用してみた。結果はかなり満足のいくもの。必要経費も低額で製作も簡単。器用な小学生なら20~30分もあれば作れるだろう。
材料は約[1cm幅 x 15cm長] の竹の棒2本と木ネジ4本。必要な工具は、ノコギリ、ナイフ、キリ、ドライバー。
なお、ハチマイッターやS式スクリーン・K型スクリーンは商品名。商標登録されている(かも知れない)ので、今回の自作製品は、茶室の躙口(にじりぐち)に倣い、今後「にじり巣門」と呼ぶことにする。
[にじり巣門 - 製作編]へ続く . . . . .
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蛇足: 「逃去」、「ハチマイッター」に関する説明
- 自然の中で自生してきた日本ミツバチには、巣箱を放棄してより住みやすい環境を求めて一斉に引っ越してしまう「逃去」と呼ばれる習性がある。
- 逃去は、巣箱からハチミツを採取した直後、分蜂群を巣箱に取り込んだ数日後、などには特に頻発する。
- 逃去を防ぐために、「ハチマイッター」や「S式スクリーン」と呼ばれる器具が市販されている。(価格 3000〜8000円)
- 女王蜂の身体が働蜂より一回り大きいことを利用し、女王蜂が巣箱の外に出られないようにするもの。万一、逃去を決行しようとしても、女王が合流できないので逃去を諦めることを狙ったもの。
- 時には女王がハチマイッターをくぐり抜けてしまったり、女王を見捨てて働き蜂だけで逃去する群もいて、全ての逃去を阻止できるわけではないが大方のケースでは機能する。