そんな自然派歌人ならミツバチを詠った童謡もあるに違いないと、本棚の隅から、金子みすゞ童謡集 「わたしと小鳥とすずと」を引っぱり出して探してみると、蜂が登場する4編の歌が見つかった。
その中で一番有名なのが次の「はちと神さま」:
はちはお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土べいのなかに、
土べいは町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに。
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃなはちのなかに。
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以前読んだ時には “ン?” と思ったものだが、TVで . . .
ユニークな視点 . . . アッといわせるようなイマジネーションの飛躍 . . . 小さな命への思いやり . . . 正直でむき出しの言葉 . . . .
その程度の自分の詩感はさておき、「わたしと . . . 」には、彼女の全作品512編のうちの60編だけしか載せられていない。残りの452編の中にもミツバチを詠った童謡があるはずだ。
この機会に全集を購入して蜂の詩を探してみようと早速アマゾンにアクセスしてみると中古本の出品はかなりある。でもその提示価格は、最安値 20,000円から、最高値 80,250円まで! (注)
東日本大震災直後、ACジャパンが「こだまでしょうか」の童謡をTVで繰返し流した。それを聴いて生まれた “ニューみすゞファン” の存在を考慮してもかなり強気の値付けだ。
手元にある「わたしと . . . 」(1984年版第一刷 定価980円)でさえ、コレクター本として4,000円で売られている。全集を購入するのはしばらく待つことにする。
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ACジャパンには「はちと神さま」のCMもある。ところが、このCMの最後に登場するのはキイロスズメバチ。金子みすゞは、ミチバチを見ながらこの童謡を作ったはずと自分は信じているので、エンディングはスズメバチでなくミツバチにして欲しかった。
それとも、ミツバチだけを溺愛する養蜂家の手で、日々捕殺されるスズメバチを哀れんだCM制作ディレクターの意図的な作品?であれば、このディレクターは、かなりの養蜂経験がある人だ。
注記:10/20時点。価格は日々変化している。