2015/10/11

エリカ・カルネア (Erica Carnea)

(写真はHeather Hills Firm, ScotlandのWebから)

カラミンサ効果に気を良くし、次は晩秋から冬の期間の蜜源環境の改善を試みてみようと思い立った。導入予定の樹種はヒース。八ヶ岳高原の寒さに耐え、冬の間でも花を咲かせ、ミツバチが好む花蜜を出す花木と言えば、ヨーロッパの養蜂で実績のあるヒース以外に思い浮かばない。

多くのヒースはアフリカが原産地で基本的には寒さに弱い。でも、ヨーロッパを原産地とする種の中には耐寒性もある種がいくつかあり、その代表的な樹種がエリカ・カルネア(Erica Carnea)だ。

ヨーロッパ中央アルプスやイタリヤアペニン山脈などの高度1500メートル以上の高山帯に自生していて、「アルペンヒース(Alpine Heath)」や「冬咲きヒース(Winter Heath)」とも呼ばれる。氷点下30℃位まで耐え、花期は晩秋〜春先らしいので、八ヶ岳高原の蜜源枯渇期を補完するには理想的な花に思える。

グランドカバーやロックガーデン用に、ヨーロッパでは人気の高いエリカには、園芸種として改良されたものが多く(一説には800種以上あると言われている)、花の咲く時期や、花や葉の色合いなど、それぞれ異なる変種・改良種があるようなので、開花期の異なるいくつかのエリカを混植すれば、八ケ岳の寒冷高地でも一年中蜜源花の絶えないビー・フレンドリー・ガーデンを造ることが可能かもしれない。

スイストレッキングで、エリカを訪花しているミツバチをみつけることはできなかったが、エリカが蜜源花として優れていることは、ドイツ北部のヒース地帯でHeath Beekeeping(German: Heideimkerei)と呼ばれる独特の養蜂術が中世から伝えられていることや、Erica Heather Honey とジャンル分けされるハチミツが存在することで十分に裏付けられている。

この春たまたま"Heath Beekeeping" の特異な分蜂群捕獲方法のことを知り、その手技を来春の分蜂シーズンで試してみようと画策しているところだった。蜜源花のヒース導入と併せて「Heath Beekeeping 八ヶ岳版」の序章になれば楽しいのだが。