この葉っぱの裏を尖ったものでなぞると、傷跡が変色していつまでも残るのでメモ用紙として使える。宛名を書き、切手を貼れば郵便局でハガキとして受け付けてもくれる。タラヨウが別名”ハガキの木”とも呼ばれる由縁だ。
タラヨウには、ハガキと結びつくずっとずっと以前、紀元前5世紀のお釈迦様の時代から仏教教典との深くて長い結びつきがあったらしい。タラヨウの巨木・古木が全て寺院の境内にあり、郵便局敷地内のはまだほんの若木だという事実の背景にはそんな事情があったことを私はこれまで知らなかった。(参考資料:「禅の視点 -life- 」)
夜のNHK「青天を衝け(第29回)」は、奇しくも日本に郵便制度が誕生した時の物語。”郵便”、”切手” などの名称もその時生まれたらしい。
番組中でタラヨウのことにも触れるのではと期待したが残念ながらそんな場面はなかった。(写真はNHKアーカイブから)
1997年、当時の郵政省が環境基本計画の一環としてタラヨウを郵便局のシンボルツリーと定め、庁舎敷地にタラヨウを植樹することを推奨した。このことでタラヨウの木と郵便ハガキの間柄が一気に世間に認知されることになり、”タラヨウ=葉書”の認識が普及定着したようだ。