米国社会の経済格差は、貧しい人は新鮮で安全な食材を入手することさえ困難な状況に追い込んでしまった。であればと、街の中の芝生や空き地を耕し、健康的で栄養価の高い野菜や乳製品を自分達の手で作ろうという"都市農園"の運動が米国の大都市で大きなムーブメントになっているそうだ。「
都市を耕す エディブル・シティー」はそんなの草の根運動を記録したドキュメンタリーフィルム。多摩エコフェスタ2016の上映会で観てきた。
食の正義、食料主権などの概念は日本ではまだ馴染みが薄いが、一日三度の食事を摂ることができない貧困家庭の子供が日本でも増えていることは時々TVで取り上げられる。その一方、
日本の食品ロスは世界の食料援助全体量の約2倍との農林水産省の資料もある。
トマトやキュウリを一年中食卓に並べるためのハウス栽培では、露地栽培の5倍近いエネルギーを消費するとの説もある。映画の中で、 "私たちは野菜ではなく石油を食べている" と発言があった所以だろう。
飽食、孤食、ロス食品、壱番屋冷凍ビーフカツ事件、. . . 。最近とかく話題になりがちな「食」の問題を考える時、上映時間56分の小品ながら「エディブル・シティー」は一見の価値がある映画と感じた。