2013/08/01

ニホンミツバチとニホンザル

窓際でPCに向かっていると視界の隅を横切る影。顔を振り向けると、こちらの様子を伺いながらベランダをゆっくりと猿が歩いていた。背中には小猿がしっかりとしがみついている。30年近い八ヶ岳南麓での生活で猿の姿を見るのは初めてだ。それもこんなに身近で!

以前は釜無川の南アルプス側にしかいないとされていたニホンザルだが、ここ数年七里ヶ岩台地や小淵沢近辺でも見かけるようになったとの噂は聞いていた。でもわが家の山荘は釜無川から最短部の直線距離でも10キロ、その間には国道20号(甲州街道)と釜無川、そして七里岩ラインや中央道、と二重三重に分断されている。時折餌を求めて遠出をして来る猿がいるにせよ群れで移住してくることはまずないだろう、とたかをくくっていた。

そう言えば数日前に歩いた信州下蔦木宿近くで、集落全体の農地が2メートル以上の高さの電牧柵で囲まれた光景を目にした。ニホンシカにしてはずいぶんと大仰だなと感じたがサルへの防御ネットだったようだ。
ニホンザルは . . . 町内に2群以上(300頭以上)生息していると推定される。. . . 電牧柵の設置や年間100頭以上の捕獲を実施しているところであるが、被害の発生は抑止できていない。. . . (富士見町鳥獣被害防止計画)

ベランダを歩いていたニホンザルが、子供を背負って国道20号や中央道を横切って、はるばる南アルプスから出向いて来るとは考えにくい。既に八ヶ岳南麓に集団移住してきた群がいて八ヶ岳南麓で出産した子供の可能性が高い。

ミツバチとサルの関係を調べてみると、みつばち協議会作成の「養蜂マニュアル」に次のような記載があった。
ニホンザルが巣箱から巣板を抜き出して蜂児を捕食する被害が東海地方で報告されています。今のところ大きな被害は報告されていませんが、ニホンザルがいる目の前で巣箱を開けたり 、蜂蜜や蜂児が残っている無駄巣などを近くに捨てると 、サルは蜂児の味を覚えてしまうので、サル用のネットと電気柵を利用して追い払ってから作業を行いましょう 。
ネットにせよ、電気柵にせよ、知恵者のニホンザル相手ではこれまでの鹿対策とは比べものにならないほど厄介な作業になる。文章から察すると熊のようにニホンザルがハチミツを狙って巣箱を荒らす、ということは無さそうだが、八ヶ岳南麓で農産物の被害のニュースが出るようになったら何らかの対応策を考える必要があるだろう。

注記:カメラを準備する前に姿を消し自分では撮影ができなかったので、上写真は、目撃したのとそっくりの姿の写真を愛宕山自然動物園のホームページから拝借した。