我家の藁細工職人から「藁たたき」の注文を受けた。干し柿用の細縄、お正月のしめ飾り、ワラ草履、卓上鍋敷き、カサスゲのミノ笠や円座など、日常生活や工芸活動での必須道具なのだそうだ。
藁たたきは、子供時代の田舎生活で身近にあったが、いざ作ろうとするとその形をはっきりと思い出せない。そこで郷土資料館などに展示されている古道具をネットで調べてみると、昔の藁たたきは実に様々だったようだ。(上写真)
利用する草の種別、繊維の潰し加減、一度に叩く束の量、使う人の体力などで、材質、重さ、形状などにそれぞれ適したものがあるようだ。
新品の藁たたきが2000円前後で売られてもいる。
今回納品したのは上写真の横槌。材は、ストーブの薪用に
小仏峠から運んできたケヤキ丸太をトリマーで削り込んだもの。薪小屋に積みっぱなしで3年以上経っているので十分に乾燥している。重さ1.2kgだから非力な女性にも扱いやすいはずだ。
特に労力を注いだのが握り柄のスタイルと柄付け根の凹型形状。古い藁たたきから学んだ知恵だが、これで軽い握力でも振上げ・打ち下しの安定感が大幅に向上した。ただ、注文者本人がそれに気づいてくれるかどうかは分からない。