2015/07/12

ビースケップの土壁塗り


先日入手したアンティーク・ビー・スケップ(蜜蜂篭)の土壁塗りに挑戦した。使用した土は白の古信楽粘土。古琵琶湖層から掘り出された貴重な土で、近所の陶芸家が伝統的ビースケップの再生構想を聞いて進呈してくれたものだ。

土壁は吸湿性や遮音性に優れ、夏の冷却効果、冬の防寒や結露防止などにも優れると評価が高い。木、土、水の天然素材だけを使うのだから、ミツバチにも、人にも、そして地球環境にも優しい究極のエコロジー蜜蜂巣箱であることは間違いない。

初めての土壁作業の出来上がりはひどいもの。上右写真のように乾燥するにつれひび割れが進み、隙間だらけの巣箱になってしまった。蜜蜂も本来の巣門を無視して、壁の亀裂ばかりに興味を示す。
すさ(藁)を混ぜなかったことがひび割れの原因であることは明白で、これは事前にある程度予期しないわけでもなかったが、信楽の高級粘土だからうまくいくかもしれないと手抜きをしてしまった。

日本建築の壁土塗りでは、水と藁を混ぜ合わせた土を一定期間寝かせ、混ぜ込んだ藁が醗酵して繊維質が粘土の粒子に絡まるのを待ってから塗るらしい。欧米で、粘土代わりに牛糞(新鮮なものに限るらしい)を使用するのも同じ理由からのようだ。

とりあえずは隙間を埋める補修工事でしのぐか、あるいは、土壁を全て削ぎ落としてもう一度白紙からやり直すべきか思案中。