玄関前の栗の木の下に”落とし文”が散らばっていた。オトシブミ科(亜科?)の昆虫のしわざ。巻き込んだ葉っぱの中に卵を産みつけ、孵化した幼虫はこの葉っぱを食べながら育つ。落とし文は、 ”ホトトギスの落とし文”とか ”ウグイスの落とし文”とも呼ばれる。
そういえば数日前から、夜空を飛びながら鳴くホトトギスの声や、子育てのために平地から山に帰ってきたウグイスの囀りを耳にするようになった。落とし文が見つかる季節と、ホトトギスやウグイスの初音の時期が重なることからこんな表現が生まれたのだろう。
俳句の世界で落とし文は初夏の季語。そして和菓子の世界にも”落とし文”という菓銘の上生菓子(練りきり)がある。季節限定(6月)の伝統和菓子で、葉っぱの葉脈や卵の造形に、日本の四季を表現した菓子職人のこだわりが伺える。
ところが、葉っぱについた白い玉を最近は”雨露”と言い換える老舗和菓子屋も出てきたようだ。”虫の卵”では客に敬遠されるというのがその理由らしい。
”ジャポニカ学習帳”症候群と同様の世相を感じる。