2013/09/09

御所の花展

武蔵野の自然がそのまま残っていると言われる皇居吹上御苑に咲く草花を、安野光雅画伯が1年4か月通って描いた画集「御所の花」(朝日新聞出版、2013年7月刊)の原画展。

ノアザミ、ツリフネソウ、ユウスゲ、キキョウ、オミナエシ、ワレモコウ. . . など、描かれた植物の多くは八ヶ岳高原でも馴染みのある草花。御所の庭には、天皇・皇后両陛下が、軽井沢や那須の御用邸から種子を持ち帰って育てた高原の野草も多いらしい。

野の花と小人たち―画集」のような、克明繊細な筆致で描かれた植物画を勝手に想像して出向いたが、予想とはずいぶん違っていた。


. . . 暮色が深まるほどに花色が明るく輝いてくるユウスゲ
. . . 種子を飛ばす大役を終え、今は風の吹くままにたなびくススキ
. . . モノトーンの冬の雑木林でひときわ目を引くイイギリ

画伯の心象風景を描いたのではと思えるほど、背景や細部の描写を簡素化した水墨画のような雰囲気の作品には、「野の花と. . . 」や「旅の絵本」シリーズとはまた違う安野ワールドがあった。

今日は巡回展覧会の東京での最終日。かなりの混雑を覚悟して出向いたが、ウィークデイの午前中ということもあってか、意外とゆっくりと鑑賞できたのは幸いだった。

(中写真はパンフレットからの転写)